更新日: 2019.06.27 ふるさと納税
【2019年6月に制度変更】ふるさと納税の新しい制度の中身を解説
ネット社会で生活し、TV離れをしている若者の中には“しめきり間近!”“最後のチャンス”という文字が並ぶのをみて、ふるさと納税は「今年度はもう締切なのですか?」「廃止されるの?」という問い合わせをして来られた方もいます。
執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
女性のための電話相談『ボイスマルシェ』 https://www.voicemarche.jp/advisers/781
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ふるさと納税騒動の真相
「ふるさと納税」の人気が上昇すると共に、本来の意味を越えて「返礼品のお得感」を競争するため、国(総務省)の求める基準にそぐわない豪華な返礼品を送る潮流に。確かに、各「ふるさと納税」のサイトを拝見し、驚くような返礼品もありました。
海外製の豪華な人気掃除機、地元のゴルフ場プレイ付き豪華旅行券、豪華温泉旅行券、同じビールの返礼品が複数の自治体で、どこでも買える日用雑貨、挙げたらきりがありません。例えば、掃除機は、家電量販店で買えばもっと安く買えます。
しかし、節税効果のある「ふるさと納税」で寄付すれば、本来納めるべき税金の金額の中から賄うことができるのです。つまり自分のお財布の痛手は2000円のみ。
<ふるさと納税のシステム>
本来支払うべき税金-(自治体へのふるさと納税-2000円)=納める税金
※「ふるさと納税」できる控除額は、所得金額により違います。
納税額の多い人なら、然るべくそのようにするでしょう。
令和元年6月1日に制度が変わりました
総務省は、このような潮流に歯止めをかけるため、散々警告をしてきましたが、一向に収まるどころか白熱する一方でした。そこで特に加熱傾向にある4つの自治体を「ふるさと納税」の税優遇から除外することにしました。
・大阪府泉佐野市
・静岡県小山町
・和歌山県高野町
・佐賀県みやき町
上記4ヶ所です。一度除外された自治体は、一定期間再認定を受けることができなくなります。この自治体への寄付はできますが「税制優遇」はされません。
大阪府和泉佐野市は、2019年2月から5月31日まで通常返礼品に加えて「Amazonギフト券」までつけてしまう閉店セールを行いました。これに、人気が殺到し、WEBでも目にしていたと思います。しかし、6月1日からは制度が変わります。
新しい制度の中身
2019年4月1日に総務省から発表された「ふるさと納税」に係る指定制度は以下の通りです。
●総務大臣が以下の基準に適合した地方自治体を「ふるさと納税」(特別控除)の対象として指定する仕組みです。
1.寄付金の募集を適正に実施する自治体
2.(1の自治体で)返礼品を送付する場合には、以下のいずれも満たす地方自治体
・返礼品の返礼割合を3割以下とすること
・返礼品を地場産品とすること
※指定対象外の自治体へ6月1日以降に支出された寄付金については、特別控除の対象外となりますので、ご注意ください。
このように、地方税法等の一部を改正する法律の成立により、6月1日以降、ふるさと納税に係る指定制度が創設されました。もうAmazonのギフト券は返礼品として扱われなくなります。
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本来の「ふるさと納税」の目的と仕組み
そもそもの「ふるさと納税」の目的と仕組みはどんなものだったのでしょうか。ここでおさらいをしてみたいと思います。
<目的>
少子高齢化の進む日本では、地方の過疎化が問題視されています。そのため、人口の多い地域に納税者が多く住み、地方自治体の財政を困難にしています。
この税収の差を埋めるための施策として始まったのが「ふるさと納税」です。自治体によっては「お礼品」(返礼品)を用意して、地域の特産品や名品をPRする機会にもできます。
<仕組み>
通常、所得税や住民税は、住所地を管轄している税務署・自治体に納めなければいけません。それを一定の上限内(所得により異なる)であれば、自分の出身地や応援したい自治体に「寄付」として納めることができます。
応援したい自治体は、どこを選んでもOK。被災地や所縁のある自治体を選べます。
※注釈:上記の「応援したい自治体」がいつしか「返礼品」の魅力的な自治体に変化してしまったようです。
<方法>
上記で寄付した金額で「所得税」や「住民税」が上限金額内で軽減されます。基本的には2000円の自己負担金以外は控除対象です。また、確定申告またはワンストップ特例制度※1で申請が必要です。例えば1万円の寄付をした場合、8000円の控除となります。
※1:ワンストップ特例制度とは
1年間で「ふるさと納税」を行う自治体が5自治体まで、寄付を行った年の所得について確定申告をする必要が無い人は、「ワンストップ特例制度」の申請を行えば、確定申告が不要となります。
ふるさと納税の期限は、1月1日から12月31日までが、今年度の税制優遇の対象となります。新制度がスタートしました。これからは、本来の目的を理解して、活用してくださいね。
執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー、相続診断士