大学生の息子が「Uber Eats」の配達員をすることに! アルバイトじゃなく「個人事業主」の場合、年いくらまでなら扶養内になる? 知っておくべき注意点も解説
配信日: 2025.06.19

自由な働き方は魅力ですが、「アルバイト感覚で始めさせて、扶養や税金で損をしないだろうか?」と心配になりますよね。いわゆる「アルバイト」との違い、扶養の壁や税金の仕組みも解説します。
目次
Uber Eats配達員は「アルバイト」ではなく「個人事業主」
Uber Eats配達員として働く上で重要なポイントは、働き方が「アルバイト」ではないことです。
アルバイトは、企業と「雇用契約」を結び、時間などに応じて「給与」を受け取ります。しかし、Uber Eats配達員は、仕事を請け負う「個人事業主」という立場です。そのため、得られるお金は給与ではなく「報酬」となり、税法上の扱いも異なります。
会社員やアルバイトは、基本的に会社が年末調整を行いますが、個人事業主は自分で所得を計算し、必要に応じて確定申告をしなければなりません。この「個人事業主」という働き方が、扶養のルールを理解する上で基点となります。
扶養には税法上と社会保険上の2種類ある
「扶養」には、税金の「税法上の扶養」と、健康保険の「社会保険上の扶養」の2種類があります。基準額や計算方法が異なるため、混同しないようにしましょう。
「税法上の扶養」は、保護者の税負担が軽くなる制度です。子どもの年間「合計所得金額」48万円以下が条件です。いわゆる「103万円の壁」は給与収入の基準で、Uber Eatsの報酬は下記の計算式で算出します。
所得(収入-経費)
例えば、売上100万円の場合でも経費が60万円であれば、所得は40万円となり、扶養に入れます。
「社会保険上の扶養」は、子どもの「年間収入」130万円未満が基準です。経費を引く前の「収入」で判断されるのが大きな違いです。収入が130万円以上になると、子ども自身で国民健康保険(国保)・国民年金に加入し、保険料を支払う義務が生じ、年間20万円以上の負担増もあり得ます。
確定申告が必要になる基準
Uber Eatsの配達で一定以上の所得を得た場合、学生であっても確定申告が必要です。基準となるのは、主に次の2つのケースです。
1. Uber Eatsの所得が年間48万円を超える場合
アルバイトなどをしていなければ、年間の所得(売上-経費)が基礎控除額の48万円を超える場合に申告が必要です。
2. アルバイトと掛け持ちで、Uber Eatsの所得が20万円を超える場合
アルバイト先で年末調整を受けていても、副業であるUber Eatsでの所得が年間20万円を超えた場合は、自身で確定申告をしなければなりません。
申告を忘れるとペナルティの対象になることもあるため、保護者は子どもと所得の状況を確認しておきましょう。
税金以外に知っておくべきアルバイトとは異なる注意点
お金の管理以外にも、個人事業主であるUber Eats配達員には、アルバイトとは異なる注意点があります。個人事業主は、労災保険への「特別加入」が可能ですが、事故への備えは自己責任です。万が一に備え、対人・対物賠償を含む任意保険には必ず加入しましょう。
また、時給制と違い収入は天候や注文数で大きく変動するため、安定しにくい点も理解しておく必要があります。配達に使う自転車やスマートフォン、バッグなども自己負担です。
まとめ
Uber Eatsの配達員は、好きな時間に働ける魅力的な仕事ですが、個人事業主としての責任も伴います。最後に、押さえておきたいポイントをまとめます。
・働き方は「アルバイト」ではなく「個人事業主」
・税金の扶養は「所得48万円」、社会保険の扶養は「収入130万円」が壁
・所得の計算には「経費」の管理が重要。領収書は必ず保管する
・万が一の事故に備え、任意保険への加入は必須
お金の管理や税金の仕組みを、子どもが学ぶ良い機会でもあります。家庭内で話し合い、安全に気をつけて、新しい挑戦を応援してあげましょう。
出典
国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.1199 基礎控除
全国健康保健協会 被扶養者とは?
厚生労働省 令和6年11月1日から「フリーランス」が労災保険の「特別加入」の対象となりました
執筆者 : 西村りえ
2級ファイナンシャルプランナー、AFP