社会人3年目で「1万円」昇給したけど、6月から住民税が「5000円」上がった! 急に“住民税”が高くなった理由は?「社会人2年目」との違いも解説

配信日: 2025.06.20

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社会人3年目で「1万円」昇給したけど、6月から住民税が「5000円」上がった! 急に“住民税”が高くなった理由は?「社会人2年目」との違いも解説
6月は住民税の毎月の納税額が変わるタイミングです。住民税の計算の仕組みによって、社会人1年目は住民税が課税されず2年目から課税されることで、2年目のほうが給料の手取り額が下がると耳にしたことがあるかもしれません。このように住民税が昨年に比べて大幅に高くなる現象が、社会人3年目でも起こることを知っていますか。
 
本記事では、社会人3年目の住民税が2年目に比べて高くなる理由について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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住民税とは?

住民税は、公共施設や学校教育などの行政サービス運営のために、住んでいる都道府県・市町村に納める税金です。納税額は、所得に応じて負担する「所得割」と、所得に関係なく一定額を負担する「均等割」を合算して算出します。住民税の計算方法は、次のとおりです。

(1)前年の収入額から、各種控除額を差し引く(課税所得)
(2)課税所得に税率(10%)をかけて、税額を計算する
(3)税額から税額控除額を差し引く(所得割)
(4)所得割の金額に均等割の金額(道府県民税が1000円、市町村民税が3000円※)を加えて、納税額を算出する
※2024年度から森林環境税として1000円を追加

納税方法は、自分で納税する「普通徴収」と、会社が給与から天引きして市町村へ納税する「特別徴収」の2種類があります。会社員の場合、原則として特別徴収となり、年間の納税額を6月~翌年5月までの12ヶ月に分割した額が毎月の給与から天引きされます。
 

社会人3年目の住民税が高くなる理由は?

先ほど解説した住民税の計算において、住民税算出のもとになる前年収入とは、前年の1月から12月の収入です。2025年4月で社会人3年目の人(入社が2023年4月)が、社会人1年目から3年目の各年における住民税算出に用いる収入は以下の通りです。

●社会人1年目:2022年1月~12月の収入のため、全期間が入社前
●社会人2年目:2023年1月~12月の収入のため、2023年4月~2023年12月の9ヶ月分が入社後
●社会人3年目:2024年1月~12月の収入のため、全期間(12ヶ月分)が入社後

入社前の収入とは、アルバイトなどの収入が一般的であり、多くの場合、会社員として得る収入のほうが多くなります。また、社会人2年目は会社員としての収入が9ヶ月分なのに対して、3年目は12ヶ月分となるため、住民税算出時の前年収入が多くなります。
 

社会人2年目と3年目の住民税額の違いはどれくらい?

社会人2年目と3年目の住民税の金額がどのくらい違うのか、次の例で具体的に計算してみましょう。
 

前提条件

●居住地:東京都
●月給額:1年目は24万円、2年目は1万円昇給して25万円(学生時代は収入なし)
●賞与額:1年目、2年目ともに賞与は年間50万円
●家族構成:独身者、扶養なし

 

試算

2年目の住民税額

●前年中の収入金額:24万円×9ヶ月(4月~12月分、1~3月は収入なし)+50万円=266万円
●給与所得控除額※1:266万円×30%+8万円=87万8000円
●前年中の課税所得※2:266万円-87万8000円-43万円(基礎控除)=135万2000円
●年間の住民税納税額:135万2000円×10%+5000円(均等割+森林環境税)=14万200円
●月々の住民税納税額:14万200円÷12ヶ月=1万1683円

 

3年目の住民税額

●前年中の収入金額:25万円×12ヶ月(1月~12月分)+50万円=350万円
●給与所得控除額※1:350万円×30%+8万円=113万円
●前年中の課税所得※2:350万円-113万円-43万円(基礎控除)=194万円
●年間の住民税納税額:194万円×10%+5000円(均等割+森林環境税)=19万9000円
●月々の住民税納税額:19万9000円÷12ヶ月=1万6583円
※1:給与所得控除額は、収入金額が180万1円から360万円までの場合、収入金額×30%+8万円
※2:基礎控除額は、合計所得金額が2400万円以下の場合、43万円

2年目の住民税は月額1万1683円だったのに対し、3年目は1万6583円となり、4900円高くなります。住民税の金額は、収入額や控除の状況によって異なりますので、正確な金額が知りたい場合は自身で計算してみましょう。
 

社会人3年目の住民税の増加をふまえて家計管理しよう

住民税算出は前年の1月から12月の収入をもとに計算されます。社会人2年目と3年目で比較すると、入社後の給料が支払われた月数が9ヶ月から12ヶ月へ3ヶ月分増え、住民税算出のもとになる年収が増えるため、住民税の納税額が高くなります。4月に昇給があれば、その分住民税が高くなることは今後もあります。
 
しかし、計算上の仕組みによって昇給分以上に住民税が高くなるのは3年目までです。将来に過度の不安を感じないように、住民税の仕組みを正しく理解しましょう。
 

出典

総務省 個人住民税
東京都主税局 個人住民税
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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