「年収の壁」を気にして「働き控え」してきたパート主婦です。年収が130万円を超えそうなら、いっそたくさん稼いだ方がいいのでしょうか?

配信日: 2025.06.14

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「年収の壁」を気にして「働き控え」してきたパート主婦です。年収が130万円を超えそうなら、いっそたくさん稼いだ方がいいのでしょうか?
年収130万円の壁を超えると、手取りが減るのでは?
 
パート主婦がこの疑問を抱き、「働き控え」を選択することは珍しい話ではないようです。一方、130万円の壁を越えても、条件次第では手取りが増えたり、手取りが減っても相応のメリットがあることはあまり知られていません。
 
そこで本記事では、年収130万円の壁の仕組みや、その壁を超えた場合の影響、そして新たな支援策について解説します。
柘植輝

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

130万円の壁とは?

まず、年収130万円の壁がどんなものか、あらためて確認しましょう。「130万円の壁」とは、パート主婦が配偶者の社会保険の扶養から外れる年収の基準を指します。
 
年収が130万円を超えると、自身で健康保険や年金に加入し、保険料を負担する必要が生じます。これにより、手取り収入が減少する可能性があるため、多くの方がこの壁を意識しています。具体的には、以下のような影響があります。


社会保険料の負担:年収130万円を超えると、国民健康保険や国民年金への加入が必要となり、保険料負担が発生します。
所得税・住民税の発生:年収が160万円を超えると所得税が、100万円程度(自治体や世帯数により異なる)になると住民税が課税されます。

これらの要因により、年収130万円を少し超えた程度では、手取り収入が減少する「働き損」の状態になることがあり、それが働き方を抑えるいわば壁のように存在しているため、130万円の壁といわれているのです。
 

130万円を超えたら、いくら稼げば損をしない?

年収130万円を超えると、社会保険料や税金の負担が増加します。
 
内閣府大臣官房政府広報室が運営する「政府広報オンライン」の試算によれば、年収130万円の場合、一般的なケースでは約16万円から27万円程度の負担が生じるということです。
 
つまるところ、社会保険の扶養から外れてしまうわけです。であるならば、130万円を超えない方が、社会保険分の負担が生じないため、効率よく働くことができます。
 
しかし、税制上の扶養、いわゆる配偶者特別控除の存在があることには注意が必要です。こちらは最大で夫が所得税と住民税合わせて71万円の控除を受けられるというものです。
 
パート主婦の場合、一般的には年収160万円までであれば最大である71万円(所得税38万円・住民税33万円)の控除が受けられる可能性が高いでしょう。
 
年収160万円を超えると、控除の額が徐々に減っていき、201万6000円以上となると、控除額は0円となります。そのため、できるだけ多くお金を稼ぎたいというのであれば、配偶者特別控除の存在を踏まえ、年収160万円を超えないような額を目安に働くといいでしょう。
 

130万円の壁を超えて、将来の安心を手に入れよう

社会保険の負担を減らし、最も多く手取り割合を増やすことに注目するのであれば、130万円を超えないようにするべきでしょう。
 
一方で、「年収130万円の壁」を超えそうになってしまった場合、それ以降は年収160万円を超えない範囲を目指して働くことで、配偶者特別控除という控除の適用を受けながら家計の手取りを増やすことができます。
 
とはいえ、具体的にどうするべきなのかは、家庭の考え方や家計の状態など諸条件によって異なります。もし本当にどうするべきか気になるのであれば、ご自身で一度家計の状態を取りまとめ、夫婦で話し合い、シミュレーションして決めていくようにしてください。
 

出典

内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン「年収の壁」対策がスタート!パートやアルバイトはどうなる?
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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