中途入社で人生初の「ボーナス30万円」が支給された! 明細から「住民税」が天引きされてないけど、会社に間違いを申告すべき? 住民税が“徴収されない理由”を解説
配信日: 2025.06.14

ボーナスの支給明細書を見ると、所得税や社会保険料が天引きされているにもかかわらず、住民税が天引きされていません。これは会社の間違いではなく、ボーナスに対しては住民税の徴収がないことが一般的です。
なぜ収入を得ているのに住民税が徴収されないのでしょうか。本記事では、住民税の仕組みと、ボーナスから住民税が徴収されない理由について解説します。

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住民税とは?
住民税は、公共施設や上下水道、ごみ処理、学校教育などの行政サービスを運営するために、住んでいる市町村に納める税金です。
納税額は、所得に応じて負担する「所得割」と、所得にかかわらず一定額を負担する「均等割」を合算して計算します。年間納税額の計算方法は、次のとおりです。
(1)前年の収入額から、各種控除額を差し引く(課税所得)
(2)課税所得に税率(10%)をかけて、税額を計算する
(3)税額から税額控除額を差し引く(所得割)
(4)所得割の金額に均等割の金額(道府県民税が1000円、市町村民税が3000円※)を加えて、納税額を算出する
※2024年度から森林環境税として1000円を追加
なぜボーナスから住民税が引かれない?
住民税の納税方法は2種類あります。自分で納税する「普通徴収」と、会社が給与から天引きして市町村へ納税する「特別徴収」の2種類ですが、会社員の場合、住民税は原則として特別徴収です。
特別徴収では、先ほどの計算によって算出した住民税の年間納税額を、6月~翌年5月までの12ヶ月に分割した額を、毎月の給与から徴収します。
住民税の計算の元になる課税所得にはボーナスも含まれますが、年間納税額を12分割して徴収する仕組みから、毎月の給与以外の収入であるボーナスから住民税を徴収する必要はありません。言い換えると、毎月の徴収時にボーナス分も徴収されているということです。
社会保険料や所得税はボーナスからも徴収される
ボーナスから住民税は徴収されませんが、社会保険料や所得税は徴収されます。計算方法は次のとおりです。
社会保険料
ボーナスから徴収される社会保険料とは、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の4つです。
健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の算出方法は、ボーナスの総支給額の1000円未満を切り捨てた額(標準賞与額)に、それぞれの保険料率をかけて算出します。一方、雇用保険料については標準賞与額ではなく、ボーナスの総支給額に雇用保険料率をかけて計算します。
所得税
所得税額は、ボーナスの総支給額から前項で計算した社会保険料を差し引いた金額に、所得税率(復興特別所得税含む)をかけて計算します。
ボーナスに対する所得税率は、毎月の給与支給時の所得税率と異なり、前月の社会保険料控除後の給与額と扶養親族の数によって決まります。自分の所得税率を確認したい場合は、国税庁が公表している「賞与に対する源泉徴収税額の算定率の表」を参照して確認できます。
ボーナスの手取り額は、以上の社会保険料や所得税を差し引いた結果、総支給額のおよそ7~8割となることが一般的です。
税金や社会保険料の仕組みを正しく理解しよう
住民税は、年間の納税額を12ヶ月で分割した金額を毎月の給与から徴収されているため、ボーナスから徴収されることはありません。
一方、社会保険料や所得税はボーナスからも徴収されます。このように税金や社会保険料の仕組みを正しく理解し、明細を見たときに会社の給与計算に間違いがないかを判断できるようにしましょう。
出典
総務省 個人住民税
国税庁 No.2523 賞与に対する源泉徴収
国税庁 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(2025年分)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー