令和7年度の税制改正で「103万円の壁」が撤廃に! 所得税の最低課税額が「160万円」になると、暮らしはどう変わる?“年収の変化”や注意点を解説
配信日: 2025.06.13

本記事では所得税の年収の壁「103万円の壁」の概要と、壁が160万円になることによる減税効果について解説します。

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目次
撤廃が決定した「103万円の壁」とは
年収の壁とは、パート社員やアルバイトといった労働者が、税金や保険料がかからないように「これ以上働かないようにしよう」と検討する年収のボーダーラインのことです。
年収が一定額を超えると税金や社会保険料がかかり始め、給与から天引きされて手取りが減少するため、多くの人は壁を超えないように働くことで手取りを確保しようとしています。
年収の壁には「税制上の壁」と「社会保険上の壁」があり、103万円の壁は税制上の壁に該当します。年収が103万円を超えた場合、パート社員やアルバイトでも「所得税」が発生し始めます。
給与所得者の基礎控除48万円と、給与所得控除の55万円の合計額103万円を超えるのが理由で、103万円を超えた収入に関して所得税の納税義務が生じます。
例えば年収120万円の場合は所得税率が5%であり、103万円との差額の17万円に5%をかけた8500円が所得税となり、手取りが減少する計算です。
令和7年度の税制改正で年収103万円の壁は見直される
長らく年収の壁として機能してきた「103万円の壁」ですが、令和7年度の税制改正で撤廃されることになりました。
政府は、税制改正関連法案で、基礎控除を現在の48万円から58万円に、給与所得控除は最低保障額を55万円から65万円に引き上げることで、所得税の課税最低限の金額を123万円に引き上げることを決定しました。
さらに、年収200万円以下の人は基礎控除額がさらに37万円上乗せされる方向で修正されました。つまり、年収200万円までなら基礎控除額は95万円となり、給与所得控除の最低保障額65万円と合わせて「160万円の壁」になる計算です。
年収200万円以下の人の基礎控除95万円は恒久措置であり、今後ずっと適用されます。
年収の壁が103万円から160万円になると手取りはどう変わる?
パート・アルバイトで働いている人が気になるのは、「年収の壁の水準が上がると、いくら手取りが増えるのか」ということでしょう。
この点について、政府から減税案の目安が公表されています。それによれば、単身世帯で年収200万円の場合、所得税の減税効果は「年間2万4000円」ほどになります。
年収の壁の水準が高くなることで働き控えを防ぐことができ、かつ年間2万円以上の減税になれば、その分だけ手取りが増えて生活しやすくなるでしょう。
住民税の「年収106万円」の壁も2026年10月に廃止予定
ここまで解説してきた年収103万円の壁が新たに160万円の壁になるという話は、あくまでも所得税の話です。住民税に関しては106万円の壁が存在し、月額8万8000円以上の賃金を得ているなどの条件を満たすと厚生年金保険料や健康保険料の負担が発生します。
その年収106万円の壁も2026年10月に撤廃が予定されており、そうなれば週20時間以上働くと賃金に関係なく社会保険料の負担が発生するようになります。
まとめ
年収103万円の壁が撤廃されて、年収200万円以下の人は「160万円の壁」になり、年収200万円の単身世帯では年間で約2万4000円を目安に所得税が減税されるようになります。
今後も年収の壁関連の法律は改正される可能性もあるため、最新のニュースを見て自身の今後の働き方を考えていきましょう。
出典
国税庁 No.2260 所得税の税率
自由民主党 公明党 基礎控除の特例の創設について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー