5年前に母が入院し、医療費が20万円以上かかったのに「控除の申請を忘れていた」とのこと…。今からでも還付は可能なのでしょうか?

配信日: 2025.06.11

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5年前に母が入院し、医療費が20万円以上かかったのに「控除の申請を忘れていた」とのこと…。今からでも還付は可能なのでしょうか?
「医療費控除を申請し忘れていたけど、5年前の分でもまだ間に合うの?」という悩みは少なくありません。実は、医療費控除は過去5年以内であれば、今からでも申請できます。
 
本記事では、制度の基本や還付を受けるための手続き、注意点をわかりやすく解説します。払いすぎた税金を取り戻すためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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医療費控除は「5年以内」なら申請できる

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの間に一定額(原則10万円、総所得金額が200万円未満の場合は、総所得金額×5%の金額)を超える医療費を支払った場合、所得税の一部が戻ってくる制度です。この申告は、医療費を支払った年の「翌年1月1日から5年間」まで可能です。
 
たとえば、2020年に支払った医療費は、2021年1月1日から2025年12月31日までの間に申告すれば控除対象になります。したがって、2025年6月の現在であれば、2020年分までが申告期限の年にあたります。
 
一方で、2019年分の申告期限はすでに2024年12月31日で切れているため、還付申告はできません。このように、期限を過ぎると還付は受けられなくなるため注意が必要です。
 

確定申告をしていない場合の手続きとは

もし医療費控除の対象年度に確定申告をしていなかった場合は、「還付申告」として新たに申請を行います。申告方法は以下の通りです。


・国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成する。
・医療費の明細書を作成する。
・税務署に郵送、持参、またはe-Tax(電子申告)で提出する。

このとき、医療費の領収書は提出不要ですが、税務署から問い合わせがある場合に備えて「5年間の保管」が必要です。
 
また、申告書は1年ごとに作成が必要です。たとえば、2020年分と2021年分をまとめて1枚の申告書に記載することはできませんが、それぞれの申告書を同時に提出することは可能です。
 

すでに申告していても「更正の請求」で訂正可能

すでに確定申告を済ませている年でも、医療費控除を申請し忘れていた場合は「更正の請求」という手続きを行うことで、税金の還付が受けられます。更正の請求も、原則として「法定申告期限から5年以内」に限り受け付けられます。手続きの流れは以下の通りです。


・「更正の請求書」を作成する(国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」からも作成可能)。
・請求の理由の基礎となる事実を証明する書類(医療費の領収書等)を添付する。
・税務署に郵送、持参、またはe-Tax(電子申告)で提出する。

更正の請求をする場合は、還付申告と異なり、領収書等の証明書類の添付が必要なので注意しましょう。なお、提出後、審査に1~2ヶ月程度かかることがあります。手続きが完了すれば、指定口座に還付金が振り込まれます。
 

まとめ:還付を受けるには期限に注意を

医療費控除の申請は、「支払った年の翌年から5年間」なら可能です。2025年6月時点であれば、2020年分まではまだ間に合います。確定申告をしていない場合は「還付申告」、申告済みなら「更正の請求」で対応できます。
 
大切なのは、申告期限を過ぎてしまう前に行動すること。必要書類をそろえるには時間がかかることもあるため、なるべく早めに準備を始めることをおすすめします。
 
もし領収書を紛失してしまった場合は、最寄りの税務署に相談するのも有効です。払いすぎた税金を取り戻すチャンスを逃さないよう、今すぐ確認してみましょう。
 

出典

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 医療費控除の明細書
国税庁【申告が間違っていた場合】
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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