祖父に「自動車税が高かった!」と言ったら、「昭和の頃は、もっと高かったんだよ」と言われました。どのくらいだったのでしょうか?現代の平均収入の割合と比較すると…?
配信日: 2025.06.08

本記事では、昭和59年(1984年)の自動車税を当時の排気量別に詳しく紹介し、さらに平均年収に対する税負担の割合を現代と比較することで、過去と現在の「自動車税の重さ」を見える化していきます。

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目次
自動車税は本当に高くなった? その疑問の原点
現代の自動車税は、排気量によって課税額が決まっています。東京都主税局「自動車税種別割」によると、たとえば排気量2.0Lの車では、2019年9月30日以前に新車登録された13年未満の車両で、年額3万9500円となっています。車を所有しているだけで毎年数万円の出費が発生することに、家計への圧迫感を覚える人は少なくありません。
しかし、こうした「高い」と感じる感覚は、果たして歴史的に見てどうだったのでしょうか?祖父の世代、つまり昭和の頃の税制度と金額を知ることで、今の実態がよりクリアに見えてきます。
昭和59年の自動車税を排気量別に見ると、驚きの金額だった!
総務省の「自動車税について」の資料によると、昭和59年時点の自動車税は、図表1のような金額が設定されていました。
図表1
車種・分類 | 税額(年額) |
---|---|
小型自動車(5ナンバー)1L以下 | 2万9500円 |
小型自動車 1L超~1.5L以下 | 3万4500円 |
小型自動車 1.5L超~2L以下 | 3万9500円 |
普通自動車(3ナンバー)3L以下 | 8万1500円 |
普通自動車 3L超~6L以下 | 8万8500円 |
普通自動車 6L超 | 14万8500円 |
総務省「自動車税について」をもとに筆者作成
なんと、3ナンバー車の3L超で8万8500円、6L超では14万8500円という高額になります。排気量が大きい車=高級車だった時代ですから、それにふさわしい課税水準とも言えますが、それにしても高額です。
しかも、当時の税額は「初度登録から13年経過で加算」などの制度がないにもかかわらず、かなりの税額です。
年間給与と比較して見えてくる「税の重み」昭和vs現代
金額だけで見ると「昔の方が高かった」と感じるかもしれません。そこで、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をもとに、年間給与に対して占める割合(=負担感)を計算してみましょう。
なお、所定内給与とは、賞与を含まない6月分として支給された、きまって支給する現金給与額のうち、時間外勤務手当などの超過労働給与額を差し引いた額です。
●所定内給与:20万6500円 → 1年間で247万8000円
●5ナンバー・1.5L超~2L以下の場合:3万9500円 → 約1.59%
●3ナンバー・3L超~6L以下の場合:8万8500円 → 約3.57%
●所定内給与:33万400円 → 1年間で396万4800円
●1.5L超~2L以下の場合:3万9500円 → 約1.00%
●3.5L超~4L以下の場合:6万6500円 → 約1.68%
この比較からわかるのは、昭和59年の方が「給与に対する税の負担感が大きかった」という事実です。特に高級車を所有していた場合、現代よりもはるかに「贅沢税」に近い重さがあったのです。
まとめ:数字だけでなく「暮らしの中の重さ」を見る視点を
「自動車税が高い」と感じるのは、確かに現代の感覚では当然のことです。ただし、昭和59年の制度を見ると、税額も年収に対する割合も、今以上に重かったことがわかります。
祖父の「昔の方が高かった」という記憶は、決して間違いではありません。数字上の根拠があるだけでなく、当時は車の所有自体がまだ一部の人の特権であり、それにかかる税は「特別な出費」として強く印象に残ったのでしょう。
税負担を考えるときは、金額だけでなく「生活とのバランス」を見る視点も大切です。数字の裏にある生活実感に目を向ければ、過去も今も、税金との付き合い方に対するヒントが、きっと見えてくるはずです。
出典
東京都主税局 自動車税種別割
総務省 自動車税について
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 速報
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー