子どもが一浪後「大学生」に! 奨学金の返済などのため「月10万」以上は稼ぎたいそうです。新設された「特定親族特別控除」で、年収いくらまでなら親子それぞれの税負担が抑えられますか?
配信日: 2025.06.02

2025年度の税制改正で新設され、12月1日施行予定の「特定親族特別控除」によって、子どもの年収150万円までは親の所得税負担が一気に増えないようになります。しかし、対象となる子どもの年齢など、さまざまな要件があります。
本記事では、年収いくらまでなら親子それぞれの税負担を抑えられるのかと「特定親族特別控除」制度について紹介しますので参考にしてください。

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
目次
親子それぞれの税負担を抑えるには、子どもの年収はいくらまでが良い?
親子それぞれの税負担を抑えるには、子どもの年収の目安はいくらまでが良いのでしょうか。
2024年までは子どもの年収103万円以下(給与所得48万円以下)だと所得税での「特定扶養親族」として、親の所得から63万円が控除できました。103万円を超えると親への特定扶養親族控除がなくなって所得税の負担が増え、子どもにも所得税が課税されるため、103万円を超えないようにアルバイト就労時間を調整するケースがありました。
2025年度からの税制改正で、所得税での扶養親族の条件が変更され、子どもの年収が123万円以下(給与所得58万円以下)までは扶養親族の対象になる見込みです。
これは、給与所得控除が10万円プラスの65万円になり、扶養親族の所得条件が58万円までに引き上げられたためです。計算式にすると「年収123万円-給与所得控除65万円=給与所得58万円」です。
親の税負担が少ない扶養親族でいられるには年収123万円以下に抑えることが1つの目安と言えそうですが、もっと収入を増やしても親の税負担が軽減される「特定親族特別控除」が始まる見込みです。
特定親族特別控除は、いつから導入される?
「特定親族特別控除」とは、2025年度の税制改正で新設された制度で、2025年12月1日施行され、2025年分以後の所得税について適用されます。新しい制度では大学等に通っている年齢の子ども(12月31日時点で、19歳以上から23歳未満)が対象で、子どもの年収150万円までは親の税負担が大きく増えないことになりました。
日本商工会議所「商工会議所LOBO(早期景気観測)」の2025年2月調査結果によると、全体の60%以上の企業で「年収の壁」による勤務調整によって人手不足の問題が発生しています。2025年度から扶養控除の所得上限引き上げ・給与所得控除の引き上げ・特定親族特別控除の新設は、この人手不足問題の改善も期待されるところです。
特定親族特別控除は、年収いくらまで可能?
特定親族特別控除では、子どもの年収が年間150万円までは、親は63万円の所得控除が受けられ、150万円を超えても188万円までは段階的に所得控除が受けられて、親の所得税負担が一気に増えないことが大きな特徴です。
しかし、注意すべき点として「子どもの年齢」があります。12月31日時点で23歳だと、特定親族特別控除の対象外になり、親の所得税負担が増えてしまいます。
子どもの年収が増えると、社会保険に加入する必要はある?
子どもの年収が130万円以上になると、子ども自身が社会保険に加入する必要が出てきます。原則として、学生は社会保険の加入対象ではありませんが、年収130万円を超えると親の社会保険の扶養から外れます。
学生であっても、適用事業所でバイトし、一般社員の1週間での所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数の4分の3を超える場合、社員と同じく一般被保険者として健康保険・厚生年金保険の加入が必要になります。
まとめ
子どものアルバイト就労は、所得税と社会保険での扶養家族の範囲内の収入で働く・扶養家族から外れて大きな収入を得る、どちらの選択肢が家庭全体にとって最適かを考える機会かもしれません。
大学院進学や奨学金の早期返済など、子どもの将来設計に合わせ、その時々で最適な税対策を家族で検討しながら進めていくこと。これが家計の安定維持のポイントと言えるでしょう。
出典
国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
日本商工会議所 商工会議所LOBO(早期景気観測)
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー