親なら知っておきたい!学資保険の祝金、育英年金を受け取った時の税金
配信日: 2019.03.25 更新日: 2019.06.26
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
学資保険とは?
高校や大学などの教育費を準備するための貯蓄性のある保険です。保険料は、親などの契約者と被保険者である子どもの年齢、性別によって決まります。満期保険金のほか、祝金のあるものや、契約者が死亡した時に育英年金が支払われるものがあります。
学資保険には、年齢制限(0歳~7歳までなど保険会社により異なる)があるため、子供の年齢が高い場合は加入ができません。契約者が死亡した場合は、それ以降の保険料の支払いが免除されるのが特徴です。もちろん、満期保険金等は契約通り支払われます。
学資保険を選ぶポイントは戻り率です。戻り率とは、満期保険金等の受け取り額を総支払保険料で割った割合です。戻り率100%というのは、総支払保険料と受け取る満期保険金等の学資金が同額であるという意味です。
貯蓄のための手段として学資保険を活用するわけですから、戻り率を最優先して選びましょう。100%以下のものは避けましょう。戻り率は、「各種特約を付けない」、「保険料の払込期間を短くする」などで高めることが可能です。
祝金・満期保険金の課税
以下、契約者(保険料負担者):父親、被保険者:子供、受取人:父親として解説します。
祝金・満期保険金を受け取った時には、契約者(保険料負担者)と受取人が同一人なので一時所得として所得税、住民税の課税対象となります。具体的には、次の計算式により求めます。
祝金-(既払保険料合計-既受取済入学祝金合計)-50万円(特別控除額)=一時所得
なお、一時所得の2分の1が課税一時所得となり、他の所得と合算され、総合課税されます。
例えば、年払保険料10万円、祝金は小学校入学時(6歳)20万円、中学入学時(12歳)30万円、高校入学時(15歳)40万円、満期(18歳)110万円のケースで考えてみましょう。
・小学校入学祝金を受取った時の一時所得の計算
一時所得=祝金20万円-(10万円×6回-0)-50万円
・中学校入学祝金を受取った時の一時所得の計算
一時所得=祝金30万円-(10万円×12回-20万円)-50万円
などとなります。
このように祝金を受け取っても、(既払保険料合計-既受取済入学祝金合計)のほうが多いケースがほとんどなので税金はかかりません。
高校入学祝金を受取った時の一時所得を計算する時の既受取済入学祝金合計は50万円(20万円+30万円)となります。満期保険金を受け取った時も同様に計算します。
契約者が死亡した場合
新しい契約者(妻)に対して、学資保険の「契約の権利の評価額(権利の価額)」が相続税の課税対象となります。この場合の権利の価額は、原則、解約返戻金の額で評価します。その後、新契約者(妻)が受け取る祝金等についても一時所得になります。
学資保険の中には、契約者が死亡した場合、保険期間満了まで育英年金が支払われるものもあります。契約者の死亡により育英年金などを受け取る場合は、「年金受給権の権利評価額」が相続税の課税対象となります。
また、新契約者(妻)が受け取る育英年金は、2年目以降は所得税(雑所得)と住民税の課税対象となります。育英年金を受け取る場合の税金の計算は一般の方には難しいので、税理士などの専門家に確認してください。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー