宝くじや馬券が当たったら当選金や払戻金に対する税金はどうなる?
配信日: 2019.03.01 更新日: 2019.06.19
では、宝くじや馬券が当たったら、その当せん金や払戻金に対する税金はどうなるのでしょうか?
執筆者:高畑智子(たかばたけ ともこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者
宝くじ当せん金に税金はかかる?
宝くじの当せん金には税金がかかりません。それは、宝くじを買った時点ですでに40%程度が地方公共団体の収益金となっており、公共事業や高齢化少子化対策事業などに使われることになっているからです。
例えるなら、3000円分の宝くじを買うと、税金を1200円払ったのと同じことになるのです。では、当せん金として当せん者に払われるのはいくらなのか。宝くじを買った約47%の1400円程度です。
宝くじを買う際には、夢を買うとともに、地方公共団体への寄付を行うつもりでいると、もし当たらなくても残念ではないかもしれませんね。
競馬の馬券の払戻金の税金は?
では、競馬の馬券の払戻金はどうでしょう?
実は、競馬の馬券の払戻金に対する税金について、平成29年に裁判が行われています。競馬の馬券の払戻金は、所得税の「一時所得」に該当するか、または「雑所得」に該当するかについて争われました。
「一時所得」と「雑所得」の違いは、経費が計上できるかできないかという点にあります。馬券の払戻金は「一時所得」で経費が計上できないと、課税側(税務署側)が処分を下したことに対して、馬券の購入者は「雑所得」で経費が計上できるとして、訴訟になったのです。
たとえば、当たり馬券100万円が出るまでに、100万円の馬券(他のレースのはずれ馬券を含む)を購入していた場合、購入金額が経費になるかならないかということです。
もし、購入金額100万円が経費になるなら、当たり馬券金額100万円-経費100万円で利益は0となり、税金はかからないことになります。しかし、この購入金額100万円が経費にならない場合は、当たり馬券の金額100万円に対して税金がかかることになります。競馬ファンにしてみれば、大きな関心を呼ぶところだと思います。
この裁判(最高裁(平成29年12月15日判決)では、「馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当する」との判決が出ました。当たり馬券金額100万円-経費100万円で利益は0と、裁判所は判断したということです。
これにより、国税庁のHPでは、年間を通じて利益を得るために回収率が100%を超えるよう、継続して馬券を購入し続けたことが客観的に明らかな場合、「雑所得」に該当すると示されました。
「雑所得」であるなら、はずれ馬券の購入費用も経費として計上できることになります。
しかし、一般の馬券購入者が、国税庁が示している「回収率が100%を超えるように継続的に馬券を購入することを客観的に証明する」のは難しいものです。そのため、「雑所得」には該当せず、「一時所得」に該当し、はずれ馬券の購入費用は必要経費として認められませんので、ご注意ください。
宝くじも競馬の馬券も、光の当て方を変えると違うものが見えてくるかもしれません。
出典
国税庁「競馬の馬券の払戻金に係る課税について」
執筆者:高畑智子(たかばたけ ともこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者