更新日: 2019.08.29 その他税金

私たちの消費税は何に使われているのか

私たちの消費税は何に使われているのか
今年は消費税率が10%になる予定です。
 
これまでの変遷を見てみると、消費税は1989年(平成元年)4月より施行され、当初の税率は3%でした。その後、地方消費税の創設や二度の税率改正が行われ、現在の税率は8%(うち地方消費税1.7%)となっています。そして、2019年10月に税率が10%になり、同時期に軽減税率も導入される予定となっています。
 
軽減税率は、消費税導入以来、初めて設けられます。食品(外食、酒類除く)及び週2回以上発行の定期購読新聞については、8%の税率を維持するというものです。
 
また、需要減の緩和策として、住宅や自動車などの大型耐久消費財の購入を、減税や補助などで支援すること。中小規模の小売店において、クレジットカードなどで買い物をした場合、増税分相当をポイントで還元することなどが検討されています。
 
高畑智子

執筆者:高畑智子(たかばたけ ともこ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者

消費税の内訳

では、消費税はどのように使われているのでしょうか。
 
消費税法の第1条2項に、「毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。」との記載があります。
 
消費税は、年金や医療、介護、少子化対策といった社会福祉の経費に充てるための税なのです。年金や医療費は年々増大しています。税率が上がるのは不可避とも言えるでしょう。
 
公開されている使途の内訳は次のとおりです。
 

※1財務省「消費税の使途に関する資料」
 
消費税率が5%だったときは、国分である2.82%が年金、医療、介護の「高齢者3経費」に使用されていました。消費税率が10%になったら、国分6.28%が年金、医療、介護、少子化対策の「社会保障4経費」に充てられる予定です。
 
5%時と10%時を比較すると、少子化対策が追加になっています。少子化対策は短期では結果が出づらく、長期で継続し、かつ安定的に行う必要があるため、消費税から財源をもってきていると考えられるのではないでしょうか。
 
上の図を見ると、消費税の国分の他に、地方交付税分と地方消費税収入があるのが分かります。消費税率が5%のときには、地方交付税分が1.18%、地方消費税収が1%、合わせて2.18%が地方分として配分されていました。
 
消費税率が10%になったときには、地方交付税分が1.52%、地方消費税収が2.2%、合わせて3.72%が地方分へ交付される予定です。
 
実は、消費税率が8%になった時点において、地方に交付されるお金の使途も明確化されています。図の中に記載がありますが、地方に交付される分についても、社会保障財源化となっているのです。
 
平成30年度の国分の予算40.5兆円のうち、年金が12.3兆円、医療が11.6兆円です。年金と医療で予算の50%以上を占めています。
 
将来、年金がもらえるかどうか分からないから、国民年金の掛け金を払いたくないと考える方もいるかもしれません。しかし、このように消費税から年金が拠出されることを理解していただければ、国の財源がなくて年金がもらえないのではないかという思いはなくなるのではないでしょうか。
 
出典
※1財務省ホームページ「消費税の使途に関する資料」
 
執筆者:高畑智子(たかばたけ ともこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者
 


 

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