更新日: 2019.05.17 その他
〈家庭でできるマネー教育〉 ①子供にお金を渡すとき お小遣い制?必要な都度あげる方式?
そもそもいつから子供にお金を渡すのがいいのでしょうか?
ご家庭それぞれ経済事情も違う中で、「お金」の話はあまり周りに聞くことができないのではないでしょうか。
金融広報中央委員会「子供のくらしとお金に関する調査(第3回)」(平成25年度)の結果によると、お金のもらい方は、小学生低学年では「ときどき」もらうが57.3%で最も多く、小学生中学年では「ときどき」が47.8%、「月に1回」が32.1%となります。小学生高学年になると、「月に1回」が45%、「ときどき」が38.3%となります。
Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士
システム監査技術者、不正検査士(CFE)
アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
毎日小学生と高校生の子育てに七転八倒しながら、明日の子供たちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性が自分らしく希望を持って生きられるよう、女性起業家支援を中心に経営サポートを行っている。
大学では会計、マーケティング、経営、経済等のビジネスの基本科目の講義を担当。
https://www.atharmony-office.jp/
都度あげる方式のメリット・デメリット
お金が必要なとき、必要な分だけお金をあげるのは、一番無駄がありません。子供にとっては、足りなくならないようにお金の管理をしなくてすむので楽です。
しかし「お金ちょうだい」と言われるがままにお金をあげていては、無制限になってしまいます。計画的に使うなどのお金の管理をしないので、「お金には限りがある」という意識が薄れます。
「お金ちょうだい」と言われても、何に使うのか、それは必要なものか、今でなくてはいけないのか、などと優先順位をつける必要があるでしょう。
会社の経費のように、レシートで精算(立て替え払い)すると使った証拠になり、金額の間違い(ごまかし?)もなく効率的ではありますが、「これは認められない。却下!」などとあまりきつくしすぎると、「言ってもお金がもらえない」と子供が学習し、ママのお財布からこっそりお金をとるようになるかもしれません。
お小遣い制のメリット・デメリット
お小遣いとは何でしょう?「自由に使える自分のお金」です。お小遣い制の場合は、お小遣いの範囲内で好きなものが買えます。金融広報中央委員会「子供のくらしとお金に関する調査(第3回)」(平成25年度)の結果によると、「おかしやジュース」「友達との外食・軽食代」などの交遊費が挙げられています。
一方で、お小遣い制は自己管理が大事で、限られた範囲内でやりくりしないといけません。「お小遣いが足りなくなること」が「ある」のは、学年があがるにつれて増える傾向にあります。
私は息子が小4になった時にお小遣い制にチャレンジしました。月初めに1,000円をあげましたが、その日の夕方、息子は嬉しそうにマンガ本を2冊抱えて帰ってきました。その時買ったマンガ本は1冊480円、2冊で960円。たった1日で彼のお小遣いは残り40円となり、あと4週間余りを40円で過ごすことになりました。でも事の重大性を感じていなかったため、翌日から「お小遣いちょうだい」「今月はもうあげたでしょ」を約1か月間繰り返しました。
お金の使い方を考えるとき、「ニーズ」と「ウォンツ」を意識する
お金を管理するためには、計画性が必要です。お金には限りがあり、欲しいもの(ウォンツ)を買ってしまったら、必要なもの(ニーズ)が買えなくなります。
したがって、
■必要なもの(ニーズ)>欲しいもの(ウォンツ)
を考えて、お金を使う計画を立てなければいけません。
自由になるお金を手にすると、子供は大人になった気分になり、「欲しいゲームが買える!」などウキウキしてしまうかもしれません。でも「ウォンツ」を優先してしまった場合には、必要なものがあっても、使えるお金が手元からなくなっている状態なので、結果として困ることになります。
この「ニーズ」と「ウォンツ」の感覚は、大人でも意外と身についていない方も多いものです。子供にお小遣いを渡すときにも、分かりやすく「ニーズ」と「ウォンツ」を伝え、実際のお小遣いの使い方で、体験を繰り返して感覚を身につけさせてあげるようにしましょう。