更新日: 2020.04.07 控除

【FP解説】所得税からマイナスできる「19種類の税額控除」所得税が0円に!?

【FP解説】所得税からマイナスできる「19種類の税額控除」所得税が0円に!?
収入や所得の意味を知り、所得税がどのような仕組みで決まるのかを知ること。これは、「収入」「支出」「資産」「負債」という4つの視点の「収入」について、理解を深めることになります。
 
会社員の場合、所得税の簡単な計算式はこのようになります。
 
(1)収入-「給与所得控除」=給与所得
(2)給与所得-「所得控除」=課税所得
(3)課税所得×所得税率=所得税
 
これを理解すれば、会社員の所得税についてはほぼOKなのですが、実をいうと、この先があります。
 
今回は「税額控除」についてお伝えしていきます。
 
重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

所得税からマイナスできるのが「税額控除」

上の計算式では、ゴールが所得税の算出です。
 
でも、この中には、住宅ローンを組んでマイホームを買った場合に適用される「住宅ローン控除」がありません。マイホームを買った人から、「今年は所得税、0円だった」なんて話を聞いたことがあるかもしれません。実をいうと、この話、先ほどの所得税の計算式だけを理解しても、意味が分からないのです。
 
この意味を教えてくれるのが「税額控除」という所得税の大幅軽減策です。
 
先ほどの計算式に税額控除を付け加えてみます。
 
(1)収入-「給与所得控除」=給与所得
(2)給与所得-「所得控除」=課税所得
(3)課税所得×所得税率=所得税
(4)所得税-「税額控除」=基準所得税額
 
ちょっとややこしいですかね。
 
いったん算出された所得税から、さらに「税額控除」という特別に認められた金額が引かれて、実際に納める所得税を決めていくという計算過程です。
 
所得から算出する所得税と実際に納付する所得税は違うんですね。本当はまだ、復興税や、源泉所得税などもありますが、余計にややこしくなるため、今回はここまでにしておきます。
 
ということで、「税額控除」は、「いったん計算された所得税からさらに引かれる金額」とご理解ください。
 

税額控除の種類と意味

それでは、税額控除の種類について見ていきましょう。
 
(1)配当控除
(2)外国税額控除
(3)政党等寄付金特別控除
(4)認定NPO法人等寄付金特別控除
(5)公益社団法人等寄付金特別控除
(6)住宅借入金等特別控除
(7)住宅耐震改修特別税額控除
(8)住宅特定改修特別税額控除
(9)認定住宅新築等特別税額控除
(10)試験研究を行った場合の所得税額等の特別控除
 
……など、全部で19種類もの税額控除があります。
 
税額控除は、それだけで威力を発揮するため、所得税が0円になる場合もあります。人によってはまったく関係ないものもあるので、特別扱いされているんですね。この特別というのがポイントで、これには必ず意図があります。
 
なんだか怪しい匂いがしますが、そうではなく、国が特にサポートする必要があると定めた政策に対して、税制を用い、積極的に支援しているという意味です。
 
たとえば、所得控除のひとつに「寄付金控除」というものがありましたね。これは、認定NPO法人に寄付をした場合などに適用が受けられます。同じく、そのような団体などに寄付をした場合、「認定NPO法人等寄付金特別控除」という税額控除を選ぶこともできます。
 
節税効果の大小によってどちらを選べばいいか決めることになりますが、国の目的としては、住民との協働社会の実現という目標があるため、税制を活用して積極的に後押ししているということです。
 
わたしたちにとって身近な税額控除はというと、やはり住宅ローン控除でしょうか。正式には「住宅借入金等特別控除」と言います。これにも特別という言葉がついていますが、この意味は国が国策として住宅の普及を促進したいという意図が含まれています。
 
他にもマイホーム関連でいうと、「住宅耐震改修特別控除」といったものがあります。これには、築年数の古いマイホームが地震などで倒壊してしまうと困るので、なるべく耐震工事をしてもらいやすくしようという目的があります。
 
このように特別な政策に関連付けられているのが「税額控除」です。
 
所得控除同様、頭の片隅に入れておくと、家計にとってはプラスになると思います。
 
参考・出典:
国税庁ウェブサイト
ホーム/税の情報・手続・用紙/税について調べる/タックスアンサー(よくある税の質問)/所得税/No.1200 税額控除
 
Text:重定 賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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