地震保険に加入する前に、地震保険料控除を確認しよう。なんと損害保険も控除の対象に?
配信日: 2018.09.23 更新日: 2019.01.10
自分の家が、火災や風災、水災などに遭った場合に備えるのが火災保険です。火災保険では、地震や津波、噴火は免責とされているため、これらの補償が必要と考える場合には「地震保険」で備えます。
Text:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
目次
火災保険の地震保険付帯率は2017年で63%。加入者は増加傾向
損害保険料率算出機構によると、火災保険に対する地震保険の付帯率は、2008年時点で45.0%でした。2017年時点では63%と、50.0%を上回るようになっています。この数値を低いと見るか、高いと見るかは人それぞれでしょう。
地震保険は「地震などで被災した場合の、生活再建を補助すること」が目的であるため、支払われる保険金が火災保険と比べて少ないという特徴があります。そのため、加入者数はどちらかというと低い水準で推移していました。しかし、東日本大震災以降、加入者数は増加傾向にあるようです。
地震保険に加入すると「地震保険料控除」を受けることができる
地震保険に加入すると、「地震保険料控除」として所得控除を受けることができます。
所得税の簡単な計算式は次のとおりです。
収入-給与所得控除=給与所得
給与所得-所得控除=課税所得金額(いわゆる所得)
課税所得金額×所得税率=所得税
地震保険に加入している人と、加入していない人を比べると、通常は加入している人の方が、所得税が少なく済みます。
ただし、地震保険料自体が補償内容に比べ高いと感じるため、マイホームのリスクマネジメントと家計のバランスに配慮しながら加入の是非を検討するようにしましょう。
「地震保険料控除」の控除額
地震保険料控除はこのように決まっています。
○地震保険料控除の金額
■年間の支払保険料の合計
・5万円以下
■控除額
支払金額
■年間の支払保険料の合計
・5万円超
■控除額
・5万円
1年間の地震保険料が5万円以下の場合、支払った地震保険料の全額が「地震保険料控除」として所得控除の対象になります。1年間の地震保険料が5万円を超える場合は、地震保険料控除は年間5万円が限度となっています。
平成18年12月31日以前に加入した「損害保険」は「地震保険料控除」の対象になる
ここで注意しておきたいことが、「旧長期損害保険料」の扱いです。
平成18年までは、「損害保険料控除」という所得控除がありました。これが平成19年から廃止され、経過措置として、それ以前に加入していた損害保険については「旧長期損害保険料」という名目で「地震保険料控除」の対象になります。
この対象になる損害保険は次のようになっています。
(1)平成18年12月31日までに締結した契約
(2)満期返戻金等のあるもので保険期間または共済期間が10年以上の契約
(3)平成19年1月1日以降にその損害保険契約等の変更をしていないもの
控除額は以下のとおりです。
○旧長期損害保険料の控除額
■年間の支払保険料の合計
・1万円以下
■控除額
・支払金額
■年間の支払保険料の合計
・1万円超2万円以下
■控除額
・支払金額÷2+5000円
■年間の支払保険料の合計
・2万円超
■控除額
・1万5000円
なお、地震保険料と旧長期損害保険料の両方を払っている場合、いずれか一方が所得控除の対象となるため、控除額を算定したうえでどちらを選ぶか検討するようにしましょう。
Text:重定 賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)