更新日: 2020.04.03 確定申告

確定申告してますか?確定申告を自宅から 5分でわかる「電子申告の簡便化とは」

確定申告してますか?確定申告を自宅から 5分でわかる「電子申告の簡便化とは」
皆さんは、確定申告をしていますか?
 
これまで給与所得者の方々は、毎年末に勤務先で年末調整が行われますので、特に確定申告を要しない場合が多かったのではないでしょうか。
 
一方で、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表するなど、社会全体として副業が促進され、勤務先以外からの所得が生ずる場合や、ふるさと納税、医療費控除等の適用を受ける場合など、今後は確定申告を行う機会が少しずつ増えてくることが想定されます。
 
この確定申告をインターネットで行う「電子申告」について、簡便化を図るための制度改正が予定されています。そこで、今回の記事ではその内容を簡単にご紹介します。
 
星田直太

執筆者:星田直太(ほしだ なおた)

税理士、ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))

一般企業勤務を経て、30代から税務会計の世界に入り、税理士とCFPの資格を取得。

税理士法人勤務時には法人税務顧問、ベンチャー支援、事業再生、相続・事業承継といった多様な業務に従事。公的機関での勤務も経験した後、2014年に独立。現在は西新宿に税理士事務所を開業している。

中小企業向けの講演多数。他の専門家とも多く提携しており、ワンストップでお客様のお悩みに対応できる体制を構築している。

必要なものはIDとパスワードだけ!

これまで個人の方が確定申告を電子申告で行おうとする場合には、マイナンバーカード(写真入り・ICチップ入りのカード)とICカードリーダライタという機器が必要でした。そのため、税理士以外の方が申告をする場合において、電子申告はそれほど普及していない状況であったといえます。
 
このような状況を受けて、電子申告手続きの簡便化が図られることになりました。平成30(2018)年分の確定申告、つまり平成31(2019)年3月15日申告期限以降の申告については、IDとパスワードのみで電子申告が可能になります。マイナンバーカードとICカードリーダライタが不要になりますので、電子申告をする際の障壁が少し低くなったといえるでしょう。
 

IDとパスワードを取得するためには

ハードルが少し低くなる電子申告ですが、利用するには事前の準備が必要です。IDとパスワードを自宅のPCで取得できればいいのですが、本人確認の必要等があることから、税務署(納税地の所轄税務署ではなくても対応可能)に行ってPC入力等を行い、IDとパスワードを取得する必要があります。
 
その際には本人確認書類が必要になりますので、事前に税務署へ手続きの確認をするとよいかもしれません。
 
なお、これまでマイナンバーカードとICカードリーダライタを使用していた方が、新たにIDとパスワードを取得する際には、自宅から取得申請ができるとのことです。
 

申告できるのは国税庁WEBサイトの申告書のみ

このID・パスワード方式で電子申告ができるのは、国税庁WEBサイトの「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成し、送信する場合に限られます。市販のパッケージソフトなどによって電子申告を行う場合には対応しないとのことなので、注意が必要です。
 
ちなみに、「確定申告書等作成コーナー」はとてもよくできています。確定申告に不慣れな方でも質問に答えていくことによって申告書を作成することができる仕組みになっています。ご興味があれば、少し触れてみることをお勧めします。
 

ID・パスワード方式の今後

国としては、マイナンバーカードの普及を促進したいという意向があります。従って、ID・パスワード方式は、マイナンバーカード普及までの間の暫定的な措置という位置付けになります。
 
そのため、ID・パスワード方式は、導入されてから3年後には何らかの見直しが見込まれているとのことですので、注意が必要です。
 

「スマホ申告」の導入で電子申告はより身近なものに

平成31(2019)年からは、「スマホ申告」も導入されます。
 
これまでも、スマートフォンで確定申告書等作成コーナーへアクセスし申告書を作成することはできましたが、申告書提出までを完結することができませんので、使い勝手が悪いものでした。新しい「スマホ申告」では、専用画面+ID・パスワード方式で申告が完了する仕組みとなる見込みです。
 
ただし、この「スマホ申告」は、年末調整済みの給与所得者が対象で、医療費控除またはふるさと納税などの寄附金控除に係る申告を行う方向けのようです。利用対象外になる方もいるでしょうから、注意が必要です。
 

混雑時期を避けてスムーズな確定申告を

確定申告は毎年一定の時期に集中しますので、相談会場や提出会場はたいへん混雑します。
 
ID・パスワードの発行受付は既に税務署で開始されているようですので、今後は電子申告を上手に活用するなどして、混雑を避け早めに申告をしてみてはいかがでしょうか。
 
Text:星田 直太(ほしだ なおた)
税理士、ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))

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