更新日: 2019.08.27 その他税金

二世帯住宅は税制上もメリットがある(1) 不動産取得税と固定資産税

二世帯住宅は税制上もメリットがある(1) 不動産取得税と固定資産税
親名義の二世帯住宅を建てる場合には、資金計画の際に土地に関わる費用がいらないことなど経済上の利点、日常生活上の家事、子育てや介護の助け合いなど、両世帯のライフプランニング上の課題を補い合えるメリットがあります。
 
さらに、親子が近くに暮らしているという安心感は、地震などの災害時や病気の時などには、大きな精神上の支えになるでしょう。
 
このような二世帯住宅では、一定の要件を満たせばいくつかの場面で税制上の優遇措置が受けられるというメリットがあります。ここでは、二世帯住宅に関わる固定資産税などの、税制上の優遇措置をご紹介します。
 
尾上好美

執筆者:尾上好美(おうえ よしみ)

アルファプランナーズ代表

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP(R)認定者
2級キャリア・コンサルティング技能士
大学卒業後、IT関連企業で、技術支援、マーケティング職等の業務に約12年間従事した後、子育てを経て、CFP®として独立。現在、ファイナンシャルプランナーとキャリアコンサルタントを兼業し、仕事(キャリア)と資産運用に関する相談業務、講師、執筆を行っている。住宅相談、教育資金に関する相談、リタイアメントプラン、相続など、子育て世代から中高年世代からの個人相談に数多く対応。「後悔のない選択ができた」と感じてもらえるような支援やサービスの提供を志している。

http://alpha-planners.com/

取得時(不動産取得税)から所有している間(固定資産税)の税金の減額

(1)建物に係る不動産取得税の軽減
50平方メートル以上240平方メートル以下の床面積で居宅要件を満たす家屋については、1世帯当たり、価格から1200万円を控除したものに3%をかけたものが不動産取得税となります。
※各戸の固定資産税評価額が3000万円の場合。
 

ケース1:一世帯住宅の場合の不動産取得税

【固定資産税評価額】3000万円-【控除額】1200万円=1800万円×【不動産取得税3%】=54万円/年
 

ケース2:二世帯住宅の場合の不動産取得税

【固定資産税評価額】3000万円-【控除額】1200万円-【控除額】1200万円=600万円×【不動産取得税3%】=18万円/年
 
このように、同じ建物であっても二世帯住宅にすることで、36万円の節税になります。

(2)固定資産税(家屋)の軽減
50平方メートル以上280平方メートル以下の床面積で居宅要件を満たす家屋については、1世帯当たり120平方メートル相当分の固定資産税を新築後3年間2分の1に減額となります。
 
したがって、二世帯住宅は、床面積が120平方メートル×2世帯で最大240平方メートルまで固定資産税が安くなります。
 
さらに、長期優良住宅に認定された住宅の場合は、新築後5年間2分の1に減額されます。
 
(3)固定資産税(土地)の軽減
住宅の敷地で1世帯当たり200平方メートルまでの部分が小規模住宅用地として扱われ、土地にかかる固定資産税の課税標準額が6分の1、都市計画税の課税標準額が3分の1に軽減されます。
 
二世帯住宅は小規模住宅用地として200平方メートル×2世帯で最大400平方メートルまで適用されます。
 
(4)住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)やすまい給付金の適用も可
二世帯住宅の建築費用を親子で出資する場合、親子ともに住宅ローン減税が適用されます。住宅ローンの利用がない場合でも、50歳以上に対しては、すまい給付金の給付が適用されます。 
 
ただし、所得要件や消費税率によって給付の有無や最大給付額が変わりますので、国土交通省のすまい給付金サイトで、確認してください。
(http://sumai-kyufu.jp/)
 

二世帯住宅と判断される要件とは?

二世帯住宅を建築する際の登記は、「単独」「共有」「区分」の3通りに分かれますが、このような登記の内容に関わらず、実質上の構造や利用状況によって、税制上のメリットがあるかどうかが判断されます。
 
具体的には、各地方自治体によって二世帯住宅の要件(※)は異なるようですが、概ね世帯ごとに、「玄関(各世帯ごとの専用の出入口、勝手口は除く)」「台所(卓上コンロなどの簡易なものは除く)」「トイレ」があり、さらに、「世帯間の通路がある場合、扉等で仕切られていること」などで判断されます。
 
※税制上の優遇措置の対象となる二世帯住宅の要件は、各地方自治体に最終確認してください。
 
このように、二世帯住宅にはさまざまなメリットがありますが、実際に二世帯住宅で暮らし始めたことによって、生活リズムや価値観が異なることが原因となり、互いのストレスがトラブルにつながるような場合もあります。
 
二世帯住宅に限ったことではありませんが、良好な関係性を維持するために、お互いに干渉しすぎない配慮がより大切になるといえるでしょう。
 
Text:尾上 好美(おうえ よしみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
2級キャリア・コンサルティング技能士
アルファプランナーズ代表


 

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