海外で働く際に必要!? 「納税管理人」って何? 誰に頼める?
配信日: 2023.06.12

海外居住が理由で日本国内に住所を持たないが所得がある場合、「納税管理人」を選任して納税に関する手続きをする必要があります。日本国内に居住する人であれば、誰を選んでも問題ありません。
本記事では、納税管理人について解説します。具体的に何をする人なのか、どんなときに納税管理人が必要になるのかなどをまとめているので参考にしてください。

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納税管理人とは?
「納税管理人」とは、納税義務者の代理人として納税に関する手続きを管理する人物を意味します。納税義務者が海外居住などによって国内に住所を持たず、納税に支障が出る場合に納税管理人の選任が必要です。
主な業務は以下の3点で、納税管理人を選任するためには事前に申請を行う必要があります。
・確定申告書の作成と提出
・税金を納付する
・税務署等から送付される書類の受け取り
・還付金の受け取り
納税管理人の選任が必要になるケース
納税管理人の選任が必要になる例として、以下のケースがあります。
・海外居住が理由で、日本国内に住所を有していない
・海外居住者で、日本国内で不動産や株式売却などの収入がある
・海外居住者で、住民税や固定資産税など地方税を納税する必要がある
・海外居住者で、贈与税や相続税が発生している
・海外居住者で、海外へ移住するまでの間に一定額の所得があった
・海外居住者で、株式を売却した
・海外移住者で、1億円以上の資産がある
納税管理人になる人の条件
納税管理人の選任は、日本国内に居住する人であれば誰でも可能です。年齢をはじめ、税金関係の資格保持者であるなどの具体的な条件を設けていないので、自分の周りの信頼できる人を選任すれば問題はないでしょう。
ただし書類提出や納税を行う、税務署からの書類を受け取る以外に「税務相談をしたい」「自分で確定申告書を作成するのは難しい」といった場合は、税理士を納税管理人に選任することをおすすめします。いずれも「税理士の独占業務」に該当するからです。
納税管理人の申告手続きを行う方法
納税管理人を選任する際には、「納税管理人届出書」を提出する必要があります。届出書は、国税庁や自治体のホームページからダウンロードが可能です。手続きは、税務署や自治体の窓口に提出、または郵送やオンラインでも行えます。
提出先は、納付する税金の種類によって図表1のとおり異なるため、事前に確認してから提出しましょう。
【図表1】
納税管理人届出書の提出先 | |
---|---|
所得税 | ・出国する納税義務者の納税地(日本国内の住所)に親族が居住する場合:住所地の管轄税務署 ・出国する納税義務者が国内不動産の賃貸収入を得ている場合:不動産のある管轄税務署 ・上記のいずれにも該当しない場合:出国する納税義務者が利用していた税務署 |
住民税 | 住所地の市区町村役所(1月1日現在の住所地) |
固定資産税 | 不動産のある所在地の市区町村役所 |
国税庁、日野市ホームページより筆者作成
納税管理人届出書を提出する際には、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードといった顔写真付きの公的証明書)など定められた書類の提出が必要なので、国税庁や自治体のホームページなどで確認しましょう。
帰国後には解任手続きが必要
納税義務者が海外から帰国するなど、納税管理人が不要になった場合には「納税管理人の解任手続き」が必要です。手続きは、納税管理人の申告手続き時と同様です。解任の手続きを行わない場合、納税管理人を選任した状態のままとなるため注意が必要です。
海外に働く際には納税管理人を選任して支障なく納税を済ませよう
納税管理人とは、納税義務者の代わりに納税に関する手続きを行います。書類の受け取りや事務手続きなどを行うため、納税義務者が税金の納付を滞納した場合に納税管理人が責任を負うことはありません。
日本に住んでいる人であれば誰でも納税管理人を任せられますが、税務相談や確定申告書の作成が必要であれば、税理士に依頼する必要があります。また、納税管理人を選任する際には、事前に申告手続きが必要です。海外へ出発する日に間に合うように、時間に余裕をもって手続きを進めるとよいでしょう。
出典
国税庁 No.1923 海外勤務と納税管理人の選任
国税庁[手続名]所得税・消費税の納税管理人の届出手続
日野市 国外転出されるときの個人住民税に係る手続きについて
日野市 納税管理人申告・申請に関する届出書
国税庁[手続名]所得税・消費税の納税管理人の解任届出手続
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー