更新日: 2019.05.17 その他税金

【節税方法】サラリーマンでもちょっとした事でできる税金の節税とは

執筆者 : 堀江佳久

【節税方法】サラリーマンでもちょっとした事でできる税金の節税とは
普通のサラリーマンは会社の給料から税金を引かれ、手元に残ったお金で生活しています。
 
本給や残業代、住宅手当など、会社から支給される金額の増減は気にしても、そこから引かれている税金を意識することはあまりないかもしれません。
 
しかし、そんなサラリーマンでもちょっとしたことで税金を節約できることがあります。
 
今回は節税対策のうち、確定申告をすることによって所得税を節税できる方法を紹介します。
 
堀江佳久

Text:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

所得税の構造を勉強しよう

節税を行うためには、どのようにして税金が取られているかを知る必要があります。
 
今回は所得税の軽減がテーマなので、所得税の構造を勉強してみましょう。もうわかっているよ、という人も復習のつもりで確認してみてください。
 

■所得税の基本構造

所得税とは個人の所得に対してかかる国税です。1年間(1月1日から12月31まで)の全ての所得から所得控除を差し引き、残りの課税所得に税率を適用し、税額を計算します。
 
サラリーマンが支払う税金は、次のようにして求められます。ただし、所得には、配当所得や不動産所得など10種の所得区分がありますが、ここでは給与所得だけを想定することとします。
 
  給与所得-給与所得控除額(給与所得により決まる)-所得控除(A)=課税所得
  課税所得×税率(超過累進税率)-税額控除(B)=支払う税金
 

■サラリーマンの節税対象

上記の計算式の中で、給与所得控除額は、給与所得に応じて決まります。
 
例えば、給与所得による収入金額が800万円の場合には、控除額(万円)=800万円(収入金額)×10%+120万円ですので、控除額は200万円になります。
 
この控除額自体をコントロールすることはできません。また、税率についても課税所得から金額の大きさに応じて税率が決まる超過累進課税なので、この税率も変えることはできません。
 
したがって、サラリーマンの場合の節税対象は、所得控除(A)と税額控除(B)を対象に行うことになります。
 

確定申告による具体的な所得税の節税方法

所得控除には、社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除など14種類があります。
 
給与所得のみで、その所得が2000万円以下のサラリーマンは、そのほとんどを年末調整により会社が精算してくれます。
ただし、(1)雑損控除(2)医療費控除(3)寄付金控除の3つは確定申告をする必要があり、やり方によっては、節税が可能になります。
 
なお、会社が代行してくれる所得控除でも節税の方法はありますが、ここでは、確定申告による節税のみを対象とします。
 

■雑損控除による節税

雑損控除は、「災害、盗難、横領により生活用資産などに受けた損害」とあるので、人生においてめったに遭遇するものではありません。しかし、万が一そのような損害を受けた場合には、確定申告を行えば税金が還付されるので、記憶の片隅においておきましょう。
 

■医療費控除による節税

これは、納税者が自己、または自己と生計を一にする配偶者や、その他の家族のために支払った医療費が対象になります。
 
具体的には、次の計算式で控除額が算出されます。
 
実際に支払った医療費の合計-保険金などで補てんされる金額-10万円(※)
※総所得金額等×5%と10万円のどちらか少ない方
 
したがって、医療費をたくさん支払った年は、確定申告をすると税金が還付されます。特に、レーシックやインプラント、金歯、禁煙治療も対象になるので、勝手に対象にならないと決めつけずに、税務署などに確認するようにしましょう。
 
また、医療費控除の改正(平成29年1月1日以降適用)でセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)が導入されたので、薬局やドラッグストアなどで販売されている医薬品(セルフメディケーションの表示あり)が対象となりました。
 
最大で8万8000円まで控除されますが、本特例の適用を受ける場合には、現行の医療費控除の適用を受けることができないので注意が必要です。
 

■寄付金控除による節税

国や地方公共団体、特定の公共法人などに寄付をした場合が対象になります。その中でも、ふるさと納税はインターネットで簡単に活用できるので、おすすめです。自己負担額2000円で、条件にもよりますが給与収入700万円であれば10万円ほどが控除されます。
 
詳しくは、総務省のHPなどを参考にしましょう。ただし、確定申告をする場合にはワンストップ特例制度が使えないので注意してください。
 
Text:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー/中小企業診断士。早稲田大学理工学部卒業。