更新日: 2019.01.10 控除
人生最大の買い物!? 住宅を買うときに知っておきたい住宅ローン控除はご存知ですか?
そうでない方も、税金の仕組みを知る上で重要なので知っておく価値があります。
その年に支払った保険料や医療費に対して税金の控除を申請するのは一般的で、多くの方が行っていると思います。
一方、住宅ローン控除は借り入れたローンに対するものですが、保険料や医療費に関する控除と比べ、それらを上回る大きなメリットがあります。
だからこそ、他の税額還付と違った大きな金額の還付が長期にわたって可能になるのです。そのメリットとは何でしょうか?
これからその仕組みを説明していきたいと思います。
Text:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
早稲田大学卒業後、大手メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超える。その後、保険代理店に勤め、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表、駒沢女子大学特別招聘講師。CFP資格認定者。証券外務員第一種。FPとして種々の相談業務を行うとともに、いくつかのセミナー、講演を行う。
趣味は、映画鑑賞、サッカー、旅行。映画鑑賞のジャンルは何でもありで、最近はアクションもの、推理ものに熱中している。
所得控除ではなく、税額控除であること
給与所得者の方は、年末調整や翌年の確定申告で税金を還付してもらった経験があると思います。
それが可能になるのは、その年に支払った保険料や医療費を対象として、還付を申請する権利が生じるからです。
この場合の仕組みは、支払った保険料や医療費そのものが還付されるのではなく、あくまで、支払った保険料や医療費の全部または一部が課税対象から外れ、課税対象から外れた額に税率をかけた金額が還付されるということになります。(これを「所得控除」といいます。)
所得税だけでなく住民税も減額になりますが、多くの人は両者を合わせても、所得控除の対象金額の20%か、多くても、30%程度が還付されることにすぎません。(年収390~1200万円の場合を想定。)
一方、住宅ローン控除はどうでしょうか?
この制度の大きなメリットは、対象金額の100%に相当する税金が丸々還付されるということです。(これを「税額控除」といいます。)
住宅ローン控除では、一定の条件を満たした住宅ローンの年末残高の1%相当額がすべて還付されます。(ただし、年間40万円が限度です。)
ですから、住宅ローンの金利の1%相当額が安くなったと同じ効果があるわけです、
具体的に数字で比較してみましょう。以下は1年あたりの金額を示しています
支払った保険料 | 還付の対象となる保険料 | 還付または減額される税額 | ||
生命保険料控除 | 160,000円以上 | 120,000円 | 24,000円~36,000円 | 注1) |
住宅ローン借入額 | 還付の対象となる金額 | 還付される税額 | ||
住宅ローン控除 | 40,000,000円 |
400,000円
|
400,000円 | 注2) |
注1)新契約・旧契約の双方に控除額の上限を満たすまで加入したと仮定して計算した。
注2)住宅ローン条件:元利均等払い、固定金利:年1.5%、返済期間:30年、借入時期
:12月末として、借入初年度の金額を試算した。
上記の表は生命保険料控除、住宅ローン控除とも還付される税額の最大限度額を示しています。
それらを比べれば、住宅ローン控除の優位性は明らかです。生命保険料控除:2万4000~3万6000円、住宅ローン控除:40万円、金額にして還付額は10倍以上になります。
10年間という長期にわたり還付されること
もうひとつのメリットは税額還付が10年間続くことです。
低金利の昨今では、はじめの10年間の固定金利が1%を切るローンも出てきています。
税額控除額は借入残高の1%ですから、最初の10年間は実質マイナス金利ということになります。
最初の10年間はマイナス金利でお金を借りて、そのあと、かなりの金額を早期返済してしまい、残りの残額は、再度、固定金利か、変動金利でつなぐということもできるようになりました。
このように、住宅ローン控除を上手に活用することで自らのキャッシュフローをうまくコントロールし、少しでも有利な住宅購入を行うことを考えていくことをお勧めします。
Text:浦上 登(うらかみ のぼる)
CFP ファイナンシャルプランナー