更新日: 2023.03.24 控除
個人事業主必見!「インボイス制度」登録申請しないとどうなる?
この記事では、インボイス制度の概要と登録申請しないことによるリスク、経過措置について詳しく説明します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそもインボイス制度とは
インボイス制度とは「適格請求書」を使用して、仕入れ税額控除を受けるための制度です。
適格請求書は、売り手(事業主)が、買い手(クライアント)に対して発行する「消費税の納税額の証明書」のことをいいます。制度の決まりとして、売り手は適格請求書を発行して、その写しを保存し、買い手は適格請求書を保存しなければなりません。
適格請求書を発行するためには、事前の登録が必要です。登録期限は2023年9月末までと、国税庁のホームページで確認ができます。
また、インボイス登録は課税事業者でなければ登録できません。インボイス制度の導入によって、今まで消費税を免除されていた「免税事業者」だった方にも消費税を納税するという選択がでてきました。
(※免税事業者制度:課税売り上げが年間1000万円以下の事業者は消費税の申告・納税義務なし)
以下で、免税事業者の方もインボイス登録が必要になる可能性を説明します。
適格事業者登録をしないと売り上げが下がる可能性がある
インボイス登録をしないことで、取引先との契約が終了となってしまうケースが考えられます。
なぜ、そのような可能性があるのかは「消費税の仕組み」を理解する必要があります。消費税の仕組みは、以下のとおりです。
・納付する消費税額=(売り上げのときに受け取った消費税額)-(仕入れや経費に支払った消費税額)
上記の計算方法を「仕入れ税額控除」といいます。仕入れ税額控除によって、国に納める消費税の計算をする際には、売り上げのときに受け取った消費税額から、仕入れや経費に支払った消費税額を差し引くことができます。
インボイス導入後の制度では、消費税の納税額を計算する際に「適格請求書」が必要になるため、登録していないと「適格請求書」が発行できません。そのため、取引先は「仕入れ税額控除」が認められない分、損をすることになるのです。
以上のことから、インボイス登録をしていない相手と取引すると、仕入れ税額控除ができなくなるため、契約を控える可能性がでてくるのです。
その結果、売り上げにも影響を及ぼすため、今まで免税事業者であった方でも登録を検討するケースが増えてくると予想できるでしょう。
経過措置を知ってインボイス制度に備えよう
インボイス制度の導入により、売り上げに影響を及ぼす免税事業者がでてくると予想されます。そのため、免税事業者からの課税仕入れには段階的な経過措置があります。
【免税事業者からの課税仕入れ・経過措置】
図1
期間 | 仕入れ税額控除可能額 |
---|---|
2023年10月1日~2026年9月30日 | 仕入れ消費税相当額×80% |
2026年10月1日~2029年9月30日 | 仕入れ消費税相当額×50% |
※筆者作成
上記の経過措置により、免税事業者に支払った消費税相当額に一定の割合をかけた金額の「仕入れ税額控除」が可能です。
この経過措置の間に取引先との様子を見ながら、インボイス登録をして「課税事業者」になるか、「免税事業者」のままで事業を行っていくかを選択してもよいでしょう。
2023年10月1日からスタートするインボイス制度に備えるためには、消費税の仕組みを理解することが必要になります。インボイス制度と消費税の仕組みを事前に理解して、登録をするかを検討してみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部