更新日: 2023.03.19 控除

結婚したほうが税金はおトク? 控除されるのはどんな税金?

結婚したほうが税金はおトク? 控除されるのはどんな税金?
結婚して一緒に暮らすと生活費は2倍にはならず、むしろ半減するといわれています。なぜなら、賃貸物件を借りて一緒に住む場合、家賃を折半すると従来の半額近くになるからです。
 
このように、2人で暮らしても全ての生活費は2倍にならないため、一緒に暮らすことにメリットがあるのです。
 
生活費だけでなく、税金に関しても同様の効果があります。本記事では、結婚によってどんな税金がどれくらいおトクになるのかを解説します。結婚を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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結婚によって節税ができる仕組み

節税には、控除と呼ばれる制度を利用する方法があります。
 

節税は税金控除を利用するのが原則

一般的に、節税は所得税を対象としています。所得税は以下のように計算され、税金が課せられます。

◆所得税額の計算(給与所得者)
(給与収入-給与所得控除-各種所得控除)× 所得税率
 
◆所得税額の計算(個人事業主)
(売り上げ-仕入れ金額-各種経費-各種所得控除)× 所得税率

所得税は、最終的に「課税所得」に対して所得税率を掛けて算出します。給与所得者と個人事業主によって計算式に違いはありますが、売り上げや収入から仕入れ、経費、各種控除を差し引いたものが課税所得となります。
 
つまり節税は、所得控除や税額控除を増やすことで課税対象となる所得を減らし、最終的な所得税額を減らす仕組みです。
 

税金控除の種類

所得から差し引かれる所得控除には、以下の種類があります。

●雑損控除
●医療費控除
●社会保険料控除
●小規模企業共済等掛金控除
●生命保険料控除
●地震保険料控除
●寄附金控除
●障害者控除
●寡婦控除
●ひとり親控除
●勤労学生控除
●配偶者控除
●配偶者特別控除
●扶養控除
●基礎控除

だれでも受けられる控除は、基礎控除と呼ばれています。所得が2400万円以下の場合、一律48万円の控除が認められています(令和4年4月1日現在法令等)。
 

結婚によっておトクになる税金と控除

控除の中には、結婚により控除が可能になるものが存在します。つまり結婚によって税金がおトクになるのは、これらの控除を適用できるからなのです。
 
また所得税だけでなく、結婚によっておトクになる税金もあるので紹介します。
 

結婚で節税できる税金の種類

結婚により節税が可能となる税金は以下の3種類です。

●所得税
●住民税
●贈与税

所得税と住民税には配偶者控除や配偶者特別控除があり、結婚によりどちらかの控除を受けられる場合があります。
 
贈与税には、「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」があります。この配偶者控除には、婚姻期間20年が要件となっていることから「おしどり贈与」とも呼ばれており、以下の適用要件があります。

●夫婦の婚姻期間が20年以上
●贈与を受ける財産は、日本国内にある居住用の不動産もしくは居住用不動産を購入するための資金
●同じ配偶者からの贈与について適用できるのは1回のみ

 

結婚で可能になる所得控除

所得税の申告では多くの控除が認められていますが、その中で結婚によって控除が可能になるものを解説します。

●配偶者控除
●配偶者特別控除

結婚すると、上記のどちらかの控除を受けられる場合があります。2つの違いについては図表1をご参照ください。
 
【図表1:配偶者控除と配偶者特別控除の違い】

対象者・要件等 配偶者控除 配偶者特別控除
対象となる配偶者
控除を受ける要件
・民法の規定による配偶者(内縁関係は不可)
・納税者と生計を一にしている
・配偶者の年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
・青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者ではない
1. 控除を受ける納税者本人の所得金額が1000万円以下
2. 配偶者が、次の要件すべてに当てはまる
a 民法の規定による配偶者(内縁関係は不可)
b 納税者と生計を一にしている
c その年に青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者でない
c 年間の合計所得金額が48万円超133万円以下
3.配偶者が、配偶者特別控除を適用していない
4.配偶者が、給与所得者の扶養控除等申告書、または従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていない(配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除く)
5.配偶者が、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていない(配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除く)
 
※控除金額は図表2のとおり
控除金額 ・所得900万円以下…38万円
・900万円超950万円以下…26万円
・950万円超1000万円以下…13万円

 

共働きと片働きの違い

配偶者控除は年間所得48万円以下の配偶者を対象としているので、片働きの場合は納税者の所得が1000万円以下であれば配偶者控除を受けられます。
 
配偶者の年間所得が48万円を超える場合は配偶者特別控除の対象となりますが、図表2のとおり、配偶者に135万円を超える所得があると控除対象外です。
 
共働きの場合は、所得金額によっては控除を受けられない可能性があるので注意しましょう。
 
【図表2:配偶者特別控除の金額(令和2年分以降)】

配偶者の所得 納税者の所得が900万円以下の場合の控除額 納税者の所得が900万円超950万円以下の場合の控除額 納税者の所得が950万円超1000万円以下の場合の控除額
48万円超95万円以下 38万円 26万円 13万円
95万円超100万円以下 36万円 24万円 12万円
100万円超105万円以下 31万円 21万円 11万円
105万円超110万円以下 26万円 18万円 9万円
110万円超115万円以下 21万円 14万円 7万円
115万円超120万円以下 16万円 11万円 6万円
120万円超125万円以下 11万円 8万円 4万円
125万円超130万円以下 6万円 4万円 2万円
130万円超135万円以下 3万円 2万円 1万円

 

結婚して一世帯の人数が増えても税金は人数分の増加にはならないこともある

結婚しても固定費は2倍にはならないので、1人あたりの生活費は節約できます。これは税金に関しても同じことがいえます。
 
所得税は所得額に対してかかる税金です。結婚して所得が大きく増えなくても、控除額は所得の増額以上に増える可能性があるので所得税の節税になるのです。
 
共働きでは控除額は少なくなりますが、所得額を一定の範囲に抑えることで控除を受けられる場合があります。
 
経済面で結婚をためらっている方は、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1100 所得控除のあらまし
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1199 基礎控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1191 配偶者控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1195 配偶者特別控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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