更新日: 2023.03.09 確定申告

特定口座ってなに? 確定申告はどうするの?

特定口座ってなに? 確定申告はどうするの?
株式等を売却して利益を得ると、原則として確定申告が必要です。確定申告は申告期限も決まっていますし、申告するにあたっては、株式等の取得時期と取得費(株価と株数や手数料額等)などを算出しなければならず、なかなか手間が掛かります。
 
一方で、会社員や公務員の給料については原則として確定申告が不要です。そのため、「株式の売却で利益が出ていたのに、つい確定申告を忘れてしまった」ということにもなりかねません。そこで、こうした申告漏れを防ぎ、申告手続きを簡便にするためにも、特定口座の利用は有効です。
 
なお、株式等を持つことで得られる配当金に掛かる税金は、配当金を受け取る時に源泉徴収されることになっています。
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

特定口座とは

株式等の売買を行うために証券会社に証券総合口座の開設手続きを申し込むと、「特定口座」の有無について問われます。この特定口座には「源泉徴収ありの特定口座」と「源泉徴収なしの特定口座(簡易申告口座とも呼ばれる)」の2種類があります。
 
では、「源泉徴収ありの特定口座」を申し込むと、どのようなメリットを得ることができるのでしょうか?
 

■メリット(1) 売却益の確定申告が不要

株式等を売却して利益を得た時の確定申告が不要になります。売却して利益を得た場合の納税額を証券会社のほうで計算し、利益から納税額を源泉徴収して、証券会社が代わって納税します。
 

■メリット(2) 損益通算の確定申告が不要

株式等を売却して損失が確定した場合、この損失は株式等から得られる配当金と損益通算ができます。この損益通算も確定申告が必要なのですが、「源泉徴収あり」の特定口座を利用している場合、特定口座を通して申告することになり、配当金等から源泉徴収された税金が、翌年(暦年)の1月上旬に還付されます。
 
なお、この特定口座での損益通算を行うためには、配当金を特定口座で受け取らなくてはなりません。配当金を銀行口座やゆうちょ銀行等の窓口で受け取っている場合には、確定申告が必要となります。
 
このように、株式等の売却益や損益通算に対する確定申告が不要になるのが「源泉徴収ありの特定口座」のメリットです。しかし、売却益から納税額分を源泉徴収されると、その分だけ実質的に手取額が減ることにもなります。回収した投資資金と売却益を、なるべく早く次の投資に充てたい場合には、充てる額が少なくなってしまいます。
 

源泉徴収がない特定口座

「源泉徴収がない特定口座」もあります。特定口座の簡易申告口座です。先述の「源泉徴収あり」と異なり、売却益が生じた場合や損益通算を希望する場合には、確定申告が必要です。
 
特定口座と称しますが、確定申告が必要ならメリットを感じないという方もいるかもしれません。
 
しかし、特定口座では、証券会社が「年間取引報告書」を発行してくれます。年間取引報告書には株式の取得時期と取得費(株価と株数や手数料額等)が記載されますので、確定申告書の作成が容易になります。「源泉徴収のない特定口座」を簡易申告口座というのは、確定申告が容易になるからです。
 
「源泉徴収のない特定口座」は納税額の源泉徴収がありませんから、源泉徴収がない分、源泉徴収ありの特定口座に比べて手取額が多くなります。なお、年間取引報告書は「源泉徴収ありの特定口座」でも発行してもらえます。
 
以上、2種類の特定口座について見ていきました。確定申告の時期ですので、ご自身の口座に合わせて対応しましょう。
 
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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