更新日: 2023.02.24 控除
ひとり親控除ってどんな制度? 控除を受ける要件は?
ひとり親控除は、従来の寡婦控除・寡夫控除とは異なり、男性、女性を問わず対象となる制度です。
本記事では、ひとり親控除の内容や要件、制度ができた経緯、現行の寡婦控除との違いについて解説します。制度を理解して、受けられる控除を取りこぼさないようにしましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「ひとり親控除」はひとり親が受けられる所得控除
ひとり親控除とはひとり親を対象に、所得税・住民税の税額計算時に所得から一定額を差し引けるものです。原則として、次の条件すべてに当てはまる人が控除を受ける対象となります。
・その年の12月31日時点で婚姻をしていない、もしくは配偶者の生死が不明である
・婚姻関係と同等の関係(事実婚など)にある人がいない
・同一生計の子(※)がいる
・合計所得金額が500万円以下
※その年の総所得金額等が48万円以下、かつ、ほかの人の同一生計配偶者や扶養親族ではない子。同居していない場合も、日常的に生活費や学費などを仕送りしている場合は対象となる。
性別に関する要件はなく、男性も女性も対象となる制度です。また、婚姻をしていないことが要件であるため、未婚、離婚、死別のいずれであっても制度の対象になります。
ひとり親に該当するかどうかは、毎年12月31日の時点の状況で判定するため、年度途中の離婚や死別でひとり親になった場合も、ひとり親控除の対象です。
ひとり親控除による控除額は次のとおりです。
・所得税:35万円
・住民税:30万円
なお、扶養控除は子どもの年齢が16歳以上でなければ受けられませんが、ひとり親控除の要件に子の年齢制限はなく、子どもが何歳であっても(成人であっても)適用を受けられます。
制度改正により男性も女性と同条件でひとり親控除を受けられるように
現行のひとり親控除は、男親も女親も平等に受けられます。男性と女性で所得制限や控除額に差はありません。
令和2年度の税制改正以前は、男性のひとり親には寡夫控除、女性のひとり親には寡婦控除が適用され、所得金額が500万円以下の場合、女性のひとり親の方が高額の控除を受けられる制度でした。
しかし税制が改正され、男女のひとり親を対象とする制度が「ひとり親控除」に統一されたことにより、男親と女親が同様の控除を受けられるようになり、性別による不公平が解消されました。
男性は受けられない「寡婦控除」とは?
寡婦控除は、納税者が寡婦である場合に適用される所得控除です。以前から同じ名称の制度は存在しましたが、令和2年度の税制改正によって、ひとり親以外を対象とする制度に変わりました。
寡婦控除は「寡婦」の表記のとおり、女性のみを対象としており、男性には適用されません。男性には同様の所得控除はなく、配偶者と離婚や死別をしたときには、子どもがいる場合に限ってひとり親控除が適用できるのみです。
寡婦控除を受けられるのは、ひとり親ではない女性のうち、以下の条件のいずれかに当てはまる人です。
・夫との離婚後に婚姻をしていない人のうち、合計所得金額500万円以下で扶養親族がいる人
・夫と死別後に婚姻をしていない、または夫の生死が不明の人のうち、合計所得金額500万円以下の人
ここでの「夫」は民法上の婚姻関係にある人を指し、事実婚関係にある人などは含まれません。また、納税者に事実婚関係にあると認められる人がいる場合は、寡婦控除の対象にはなりません。
ひとり親控除は男性も受けられる
ひとり親控除は子どもを持つ親で、何らかの事情で配偶者がいない人に適用される所得控除です。性別の要件は設けられていないため、男性も女性も同じ条件で控除を受けられます。
ひとり親控除と似た所得控除に寡婦控除がありますが、こちらは子どもがいない女性を対象としており、男性は受けられません。
それぞれの制度の内容や要件をしっかり理解して、自分が受けられる所得控除を忘れずに適用しましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1171 ひとり親控除
国税庁 生計を一にする
国税庁 配偶者控除とひとり親控除の双方適用
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1170 寡婦控除
総務省 未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し等
東京都主税局 個人住民税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部