更新日: 2023.02.19 確定申告
事業で使っているサブスク。確定申告時に経費として申告できる?
執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
サブスク費用は事業の経費になる?
サブスクとは継続購入のことで、本来は雑誌や新聞などの定期購読を指した言葉でした。今では月額料金や年額料金を支払うと、ソフトウェアの利用や映画・音楽の視聴をはじめ、服や雑貨などが使い放題となったり、対象プランの範囲で飲食店の特定のメニューや自動販売機の飲み物が無料になるなど、サブスクのサービス範囲は広がっています。
サブスクの費用のうち、事業で使うために支払った金額は経費にできます。
例えば、ソフトウェアの利用料、宣伝のためのホームページの制作・管理費用、移動手段に使う自動車のリース料など、サブスク型のサービスに支払う費用のうち事業で使うものは、いずれも確定申告時に経費として申告が可能です。
サブスクの勘定科目
サブスクに支払う費用は、「サブスク費」といった特定の勘定科目があるわけではなく、使途に応じた勘定科目とするのが一般的です。よく使われる勘定科目としては、支払手数料、通信費、消耗品費、広告宣伝費などがあります。
また、サブスクの費用は毎月支払いを行うものだけでなく、数ヶ月や年間、また複数年分をまとめて支払うものもありますが、支払方法により仕訳が変わります。
毎月支払うサブスクの勘定科目
一般的に、毎月一定額を支払うサブスクの費用は支払いの都度、使途に合わせた勘定科目で計上します。
例えば、サブスク型の自動車のリース契約は「リース料」、毎月払い契約のソフトウェアの利用料は「通信費」、ソフトウェアのサポート料は「支払手数料」、事業内容を宣伝するホームページサービスの利用料は「広告宣伝費」などです。
ここでは適切な勘定科目に割り振り、取引内容を記録する仕訳の例を示します。
〔仕訳の例〕
会計ソフトの使用月に月額利用料1000円を通信費として預金から支払った場合
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
通信費 | 1,000円 | 預金 | 1,000円 | 会計ソフト 〇年〇月利用料 |
※筆者作成
長期間分をまとめて支払うサブスクの勘定科目
事業で使うサブスクのうち、1年を超える費用をまとめて支払う場合には、利用開始月に一括で費用を計上することはできません。この場合、来年以降の分は前払費用として計上しておき、来年になってから前払費用を当該の勘定科目に計上することになります。
〔仕訳の例〕
会計ソフトの2年分の利用料2万4000円を通信費として預金で支払った場合
・1年目の仕訳
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
通信費 | 12,000円 | 預金 | 24,000円 | 会計ソフト 1年目(〇年〇月~〇年〇月)の利用料 |
前払費用 | 12,000円 | 会計ソフト 2年目(〇年〇月~〇年〇月)の利用料 |
・2年目の仕訳
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
通信費 | 12,000円 | 前払費用 | 12,000円 | 会計ソフト 2年目(〇年〇月~〇年〇月)の利用料 |
※筆者作成
1年以内の期間分をまとめて支払うサブスクの特例
3ヶ月・6ヶ月・1年など、年間の複数ヶ月分のサブスク費用を一括で支払うこともあります。要件はありますが、短期前払費用として一括計上する特例に該当すると、1年以内のサブスク費用は利用開始月に使途に合わせた勘定科目で一括計上ができます。
〔仕訳の例〕
会計ソフトの6ヶ月分の利用料6000円を通信費として預金から支払った場合
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
通信費 | 6,000円 | 預金 | 6,000円 | 会計ソフト 〇年〇月~〇月(6ヶ月分) |
※筆者作成
まとめ
事業で使うサブスクの費用は、経費として計上ができます。サブスクのサービス内容と利用期間、利用料の支払方法に合わせた適切な勘定科目で仕訳をしましょう。
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント