更新日: 2023.02.05 その他税金

2023年10月開始のインボイス制度。経過措置ってどんなものなの?

2023年10月開始のインボイス制度。経過措置ってどんなものなの?
事業を営んでいると売買や仕入れなどで消費税に関する税務が生じます。消費税は確定申告などで精算しますが、インボイス制度の導入により「適格請求書保存方式」に沿った請求書でなければ、消費税の控除に用いることができなくなります。
 
今後の経営に影響を及ぼす可能性のあるインボイス制度の概要と経過措置について解説します。
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

インボイス制度とは?

2023年現在、消費税には物品や役務によって8%と10%の異なる消費税が設定されており、消費税が区分して表示されるようになっていますが、インボイス制度で用いられる適格請求書では、消費税率と税額のほかインボイス発行事業者の登録番号も表示されるようになり、取引における正確な消費税額を売り手に伝えることができるようになります。
 
インボイス制度は、国税庁にインボイス発行事業者の登録申請が必要ですが、現状は消費税の課税事業者しか行うことができず、売上が少ないなどで消費税の免税事業者となっていると登録申請を行うことができません。
 
免税事業者の場合は消費税の税控除は関係ないと思われるかもしれませんが、インボイス制度に対応していないと適格請求書を発行できず、取引先が消費税の控除に用いることができなくなってしまうため、取引の際に不利に働く恐れがあります。
 
一方、インボイス発行事業者になると国税庁のサイトで登録番号や名称などが公表されます。一時は個人の特定につながる情報も公表されていたため、ペンネームや匿名で事業活動を行っていた場合は、本名などがバレてしまうリスクが指摘されていました。
 
しかし、現在は個人が特定されるような情報は記載されなくなっているため、この点については安心してもよいでしょう。
 

インボイス制度の経過措置は?

インボイス制度は、消費税の納税関係に大きな影響を及ぼす施策といえます。
 
そこで激変緩和措置として適格請求書を発行できない消費税の免税事業者や登録を行っていない課税事業者などの請求書でも、インボイス制度導入後6年間にわたり一定割合が仕入額から税額控除可能となる経過措置が導入されています。
 
経過措置によるインボイス発行事業者以外の仕入れに関する税額控除は、2023年10月1日から2026年9月30日までは仕入れ税額の80%が、2026年10月1日から2029年の9月30日までは仕入れ税額の50%が、それぞれ控除可能となっていますが、この経過措置の適用を受けるためには以下の4件を請求書に記載する必要があります。
 

1 課税仕入れの相手方の氏名または名称
2 課税仕入れを行った年月日
3 課税仕入れに関わる資産または役務の名称および経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨
4 課税仕入れに関わる支払い対価の額

 

まとめ

2023年10月1日から始まるインボイス制度では、国税庁に登録したインボイス発行事業者以外が発行する請求書では消費税に関わる仕入れの税額控除に使用できなくなっています。
 
そこでインボイス制度の導入に関する激変緩和措置として、インボイス発行事業者以外の請求書でも一定額を仕入れ控除に用いることができる経過措置が導入されています。
 
インボイス登録には消費税の課税事業者となる必要があるため、免税事業者で消費税を益税としている場合にはデメリットもあります。ご自身の事業の経営方針や取引先との関係などを踏まえて経過措置期間中に消費税の取り扱いについて検討を行うとよいでしょう。
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表
 

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