更新日: 2019.01.10 控除

締め切りまで、約60日!あなたは当てはまりませんか?こんな人は医療費控除で得をする

締め切りまで、約60日!あなたは当てはまりませんか?こんな人は医療費控除で得をする
サラリーマンの税金は多くの場合、源泉徴収と年末調整により「一旦は」確定しますが、確定申告をすることで追加的に税金を安くできる場合があります。

その代表的な制度である「医療費控除」について、平成29年分の確定申告から使い勝手が良くなる方向で制度改正が行われました。税金を抑えるチャンスを逃さないためにも、その医療費控除の制度について確認していきます。
清水裕久

Text:清水裕久(しみず ひろひさ)

税理士

税理士法人での(主に外資系企業に対する)税務・管理部門アウトソーシングサービス、事業会社2社での上場準備・上場後の管理系業務全般に従事したのち、2017年12月にエス・タックス・コンサルティング/清水裕久税理士事務所を設立。個人・法人に対する税務顧問業務はもとより、事業会社における上場準備の初期段階から上場後までの豊富な実務経験に基づく、主に上場を目指す企業の管理系業務全般をサポートする上場支援サービス(オーナー経営者に対する、事業承継をはじめとした資産税対策を含む)を提供している。
ホームページ:http://stconsul.com/

医療費の支払いで税金が安くなる!医療費控除とは?

医療費控除とは、医療費として支払った金額の一部が所得から控除され、税金が少なくなる制度です。本人だけでなく、生計を一にする親族のために支払った医療費も対象となります。所得から控除できる金額は、実際に支払った医療費の合計額から保険金などで補填される金額と10万円(と総所得金額の5%のいずれか低い方)を引いた金額です(最大200万円の上限あり)。
 

出産や介護も…医療費控除が受けられる支払いって?

医療費控除の対象となる支払いは、医師による診療・治療や治療又は療養に必要な医薬品の購入のほか、助産師による分娩の介助、指定介護老人福祉施設等の一定の介護サービス、入院の部屋代や食事代で通常必要なものなどが挙げられます。レーシックや歯列矯正(年齢や目的などから必要と認められる場合に限ります)、人間ドック等で重大な疾病が発見されて治療した場合のその人間ドック等の費用も対象となります。
 

医療費控除の提出書類が簡単に!

医療費控除を受けるには確定申告が必要で、平成29年分は平成30年3月15日(木)が申告期限です。
 
これまで確定申告書には支払った医療費の領収書をすべて提出又は提示しなければなりませんでした。それが、平成29年分からは領収書の提出が不要になりました(5年間は保管しておく必要があるので、すぐに捨てないようご注意ください)。
 
代わりに「医療費控除の明細書」の提出が必要になりましたが、医療保険者から交付を受けた医療費通知(健康保険組合が発行する「医療費のお知らせ」など)を添付すれば明細の記入は省略できることになった点も、制度の使い勝手を良くする変更点です。
 

セルフメディケーション税制で新たに対象となる人も

また、平成29年分の確定申告から医療費控除の特例としてセルフメディケーション税制が創設され、従来の医療費控除では対象とならなかった少額の支出でも所得控除ができるようになったことも注目すべき点です。
 
この制度は、会社の健康診断や予防接種など健康維持や疾病の予防につながる一定の取り組みを行っている人が一部の市販薬を購入した際に、所得控除を受けられるようにしたものです。特定一般用医薬品等購入費(※)の総額から保険金などで補填される金額と1万2千円を引いた金額が、所得から控除できる金額です(最高8万8千円)。
 
(※)特定一般用医薬品等購入費とは、薬局などで購入できる一定のスイッチOTC医薬品の購入費で、購入した際の領収書に特定一般用医薬品等購入費であることが表示されています。
 
ただし、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらか一つしか使えませんのでご注意ください。どちらの制度を使う方がお得かは国税庁のホームページで比較できます。(国税庁ホームページ)
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/info-iryouhikoujo.htm
 

締め

医療費控除による所得控除は所得税だけでなく住民税にも反映され、控除額に(ご自身の所得税の最高税率+住民税所得割の税率)をかけた分の税金がトータルで安く済む計算になります。
 
「確定申告をする」というと難しく感じるかもしれませんが、国税庁のホームページでは確定申告をサポートするさまざまな情報が提供されています。法律で認められた制度をきちんと活用するためにも、いちどトライしてみてはいかがでしょうか。
 
TEXT:清水 裕久(しみず ひろひさ)
税理士

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