最終更新日: 2020.04.06 公開日: 2019.11.13
税金

個人年金保険料控除による節税効果と利用する際の注意点

毎年年末が近くなってくると、生命保険会社から保険料控除証明書が届くなど、会社員の方などは年末調整の準備が気になってくる頃かと思います。
 
誰しもが「できれば節税したい」「税金が還付されたらなぁ」などと考えることでしょう。節税につながる制度として、われわれに最も身近なものに「生命保険料控除」があります。
 
この控除額が多くなれば節税となることは確かですが、保険の契約内容や種類によっては、さらに効率よく控除額を増やすことができる可能性があります。
 
今回は、その方法のひとつである「個人年金保険料控除」について、その節税効果や利用する上での注意点などを詳しく見ていきたいと思います。
 
高橋庸夫

執筆者:

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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高橋庸夫

執筆者:

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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個人年金保険料控除を使うには?

まず、いわゆる「生命保険料控除」には、以下の3つの種類があります。
 
1、一般生命保険料控除
2、個人年金保険料控除
3、介護医療保険料控除

 
複数の保険に加入している場合に、この3つの組み合わせによって控除額が決まります。
 
例えば、1、一般生命保険料控除の対象となる生命保険とは別に、2、個人年金保険料控除の対象となる保険料を支払っている場合には、1とは別枠で、2、個人年金保険料控除が使えることになります。1、2ともに年間で8万円超の保険料を支払っていれば、4万円×2=8万円の所得控除となり、節税効果が2倍になります。
 
それでは個人年金保険料控除の対象となる個人年金保険とはどのようなものでしょうか?端的にいうと、国民年金や厚生年金などの公的年金とは別に、個人で老後の資金を準備するために加入する保険を個人年金保険といいます。
 
契約の際に設定する年金受取開始年齢までに保険料を払い込み、それを年金原資として年金を受け取る仕組みとなっています。年金として受け取ることができる期間によって、終身、有期などさまざまな保険商品があります。
 
《生命保険料控除の種類ごとの主な保険》

 

個人年金保険料控除による節税効果

個人年金保険料控除の控除額は、その年の1月1日から12月31日までに支払った個人年金保険料の合計額を下記の表にあてはめて算出します。複数の個人年金保険に加入している場合や受取人が配偶者となっている場合の支払保険料などを全て年間の支払保険料として合算します。
 
また、平成24年税制改正で、平成24年1月1日以降に契約した個人年金保険を「新制度」、平成23年12月31日以前に契約したものを「旧制度」として分類し、下記の通り、控除額の上限や計算内容が違ってきますので注意が必要です。
 
≪新制度≫ 平成24年1月1日以降の契約

 
≪旧制度≫ 平成23年12月31日以前の契約

 
上記の表の通り、新制度での個人年金保険料控除の控除額の上限は、所得税で4万円、住民税で2万8000円となります。
 
所得税は、各人の所得の合計額(課税所得)に下記の速算表の税率を掛けて所得税額を算出します。個人年金保険料控除は所得控除のひとつとして、この課税所得を控除額の分だけ下げることができるため、所得税額を下げる(節税)効果があります。
 
《所得税の速算表》

 
所得税の計算は、課税所得が上がるごとに税率が高くなる超過累進課税となっています。そのため、上記の速算表の最右列の「控除額4万円の場合の節税額」に記載の通り、所得が高い方(税率が高い)ほど節税額が大きくなります。
 
一方、住民税については所得に関わらず、一律10%となります。そのため、個人年金保険料控除の上限2万8000円に対して、2800円が節税額となります。
 
例えば、22歳の会社員が60歳まで継続して保険料を払った場合、以下のようになります。
 契約者・被保険者・受取人:本人
 保険料払込期間:60歳満了(38年間)
 年金額:80万円(10年確定年金)
 月額保険料:1万6228円(支払保険料総額739万9968円、年間支払保険料19万4736円)
 給与所得以外の所得はない
 
これらの条件において、年間の支払保険料額から個人年金保険料控除は所得税4万円、住民税2万8000円となります。仮に昇給などにより所得税の税率が以下のように推移すると仮定します。
 
1、22歳~30歳(8年間)は税率10%、年間節税額は所得税4000円、住民税2800円
2、31歳~40歳(10年間)は税率20%、年間節税額は所得税8000円、住民税2800円
3、41歳~60歳(20年間)は税率23%、年間節税額は所得税9200円、住民税2800円
 
個人年金保険料の払込期間38年間の節税額は所得税と住民税の合計で、6800円×8年+1万800円×10年+1万2000円×20年=40万2400円 となります。

個人年金保険料控除の対象となる条件とは?

個人年金保険料控除が適用できる保険契約の内容には、以下のような条件があります。
 
1、年金受取人が保険料支払人(契約者)またはその配偶者であること
2、年金受取人が被保険者と同一であること
3、保険料の払込期間が10年以上であること
4、年金の受取開始が60歳以降で、かつ受取期間が10年以上であること
5、上記1~4を満たした上で、「個人年金保険料税制適格特約」をつけること

 
つまり、対象となる個人年金保険は、60歳以降の老後資金のため、10年以上の長期期間で保険料を払い込んでいく定期個人年金保険ということになります。さらに、年金の受取方法も10年以上の有期年金か、終身年金のいずれかとなります。
 
そのため、保険料の全額を契約時に支払う一時払い個人年金保険や受取額が変動する変動個人年金保険は対象となりませんので注意が必要です。ただし、個人年金保険料控除の対象とならない保険については、「一般生命保険料控除」の対象にはなります。一般生命保険料控除の枠内であれば控除することができます。
 
そして、5の通り、「個人年金保険料税制適格特約」を付加すると、一般生命保険料控除と別枠で個人年金保険料控除が適用できるようになります。
 
注意点としては、この特約だけを中途で解約することはできません。逆に途中から特約を付加することは可能ですので、特約の付加状況が分からない方は再度契約内容を確認することをお勧めいたします。
 

個人年金保険料控除の申告方法

最後に、個人年金保険料控除の申告はどのようにするかポイントを確認してみましょう。まず、保険会社等から10月中旬ぐらいから「生命保険料控除証明書」が送付されてきます。
 
この証明書には、「一般、個人年金、介護医療」の区分や「旧制度、新制度」の区分が表記されています。また、控除証明書発行時点までの既払込の保険料額と本年12月末時点の保険料払込予定額が記載されていますので、予定額を申告額として使用します。
 
会社員や公務員などの給与所得者の場合は、年末調整の手続きのときに「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を転記し、控除証明書とともに提出することで完了します。自営業者などについては、確定申告書に必要事項を転記し、控除証明書を添付して確定申告を行います。
 
保険会社から送付される生命保険料控除証明書を万が一紛失した場合には、保険会社に対してインターネットや電話で再発行の申し込みができます。早めに対応しておきましょう。
 
また、複数の生命保険の契約がある場合でも、「一般、個人年金、介護医療」のそれぞれ保険料支払額が8万円超となった時点で控除額は上限の4万円(所得税)となります。
 

まとめ

個人年金保険料控除を利用するメリットをまとめてみると、
 
1、要件を満たす個人年金保険により、一般生命保険料控除とは別枠の控除額を活用できる。
2、預貯金などと比べ、より効率的で安全に老後資金を準備できる手段のひとつである。
3、保険料払込期間を通じて、比較的長期にわたり、節税効果を享受できる。

 
「節税」とは、当然ながら脱税とは違い、合法的な税金の負担軽減策のことを指します。
 
その多くは、制度の内容をしっかりと理解し、自ら実践している方だけがその恩恵を受けることができるものです。単年での節税効果はそんなに大きくなくても、中長期にわたり継続していくことで、結果的には大きな差が生じることになります。
 
ぜひとも思い立ったときに、ご家族全員の保険契約の内容などについて、総合的な見直しをしてみることをお勧めいたします。
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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