更新日: 2019.07.22 その他税金
コンビニのイートインでの飲食は対象外!? 知っておきたい消費税の軽減税率制度
一方で、飲食料品などの生活必需品については、税率を8%に据え置いて消費者の負担を軽くする軽減税率制度も同時にスタートします。ところが、飲食料の範囲や例外などがあり、われわれ消費者の混乱が予想されます。
例えば、コンビニエンスストアで飲食料品を買って、家に持ち帰れば消費税が8%だけれども、イートインコーナーで飲食する場合には、10%が適用されます。私たち自身が生活する上で困らないために、今回は「消費税の軽減制度」について整理したので参考にしてもらえると幸いです。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
軽減税率8%適用の対象
軽減税率の対象品目は、次の2つです。
[飲食料品]
飲食料品とは、人の飲用または食用に供されるもの(ただし、酒類を除く)です。また、一定要件を満たす一体資産を含みます。ここで言う一体資産とは、おもちゃ付きのお菓子のように食品と食品以外の資産が一体となって販売されている商品です。
また、一体資産のうち、税引き価格が1万円以下であって、食品の価格の占める割合が3分の2以上の場合に、軽減税率の対象になります。ただし、外食やケータリング等は、軽減税率の対象になりません。
[新聞]
軽減税率の対象となる新聞とは、一定の題号(新聞の名称)を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行されるもので、定期購買契約に基づくものをいいます。
したがって、私たちが毎日配達してもらっている新聞は、軽減税率の対象となりますので、覚えておきましょう。
軽減税率のケーススタディー
軽減税率の対象を確認してみましたが、より理解が進むために具体的な例で見ていきます。
(1)コンビニエンスストアのイートインコーナー
冒頭にも書きましたが、軽減税率の対象になりません。気を付けましょう。
これは、テーブル・椅子等の飲食に用いられる設備がある場所において、飲食料品を飲食させる「役務の提供」に該当するとの考え方によるものです。立ち食いソバやレストランの外食、ケータリングなども「役務の提供」に該当するため、軽減税率の対象になりません。
(2)テイクアウト・宅配
軽減税率の対象になります。これらは、飲食料の譲渡であり、上記(1)のような「役務の提供」には該当しないという考え方によるものです。
(3)屋台の焼きそば
軽減税率の対象になります。ただし、コンビニエンスストアのイートインコーナーのように飲食設備があって、そこで焼きそばを食べるのであれば、増税になります。ややこしいですが、覚えておきましょう。
(4)酒類/医薬品・医薬部外品等
酒税法において「酒類」とは、アルコール分1度以上の飲料と決められていますので、それに該当するものは軽減税率の対象になりません。私たちが普段飲む、ビールやワイン、日本酒などがそれに当たります。
また、医薬品・医薬部外品および再生医療等製品は、食品には該当せず、軽減税率の対象になりませんので注意しましょう。
(5)ノンアルコールビール
軽減税率の対象になります。(4)で見てきたように、アルコール分1度未満は酒税法の「酒類」に該当しないため、飲食料品の取り扱いとなります。
(6)小中学校の給食や有料老人ホームで提供される食事
次の条件に合致する場合には軽減税率の対象になります。小中学校の給食は、学校教育法の「義務教育諸学校」の設置者が児童または生徒の全てに対して学校給食として行う場合が対象になります。
また、有料老人ホームで提供される食事は、一食につき640円以下、その日の累計金額が1920円に達するまでなどの条件を満たす場合に軽減税率の対象になります。
(参考資料)
国税庁「よくわかる消費税軽減税率制度」
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー