更新日: 2020.02.28 その他年金
年金が奇数月に支払われる場合とは?- 年金額が変わる場合 -
前回は、年金の請求後初回の振込が奇数月になる可能性があることについて取り上げました。請求手続きを済ませ、何ヶ月、何年とたった人でも、偶数月ではなく、奇数月に支払われることもあります。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
1982年生まれ。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役。
資格学校勤務時代には教材編集等の制作業務や学習相談業務に従事し、個人開業の社会保険労務士・FPとしては公的年金に関する研修講師を務め、また、公的年金の相談業務も経験してきている。
これらの経験を活かして、専門誌で年金に関する執筆を行っている。2018年に、年金やライフプランに関する相談・提案、教育研修、制作、調査研究の各事業を行うための株式会社よこはまライフプランニングを設立、横浜を中心に首都圏で活動中。日本年金学会会員、日本FP学会準会員。
受け取る年金額に変更があると奇数月に入ることも
すでに年金を受けている人の年金額は年度ごとに改定されますが、実際の支給については月割りで計算します。そして、通常は偶数月に支払われる額は、年額を6で割った額、つまり2ヶ月分となります。
しかし、年度の途中で自身が受け取る年金額に変更が生じた場合、偶数月ではなく奇数月に支払われることがあります。
年金額に変更があった場合とは、例えば老齢厚生年金を受けられる人で、在職中に在職老齢年金制度により年金がカットされていた人が、退職することで退職の後の年金が支給されるようになった場合が挙げられます。
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在職によるカットがなくなった分の支払日
在職老齢年金制度は【図表1】のとおり、厚生年金被保険者となっている人に一定の給与や賞与がある場合に老齢厚生年金がカットされ、カットされない残りの年金が支給される制度です。
60歳台前半と65歳以降で計算式が異なりますが、月ごとに支給停止(カット)される額や、支給停止額を差し引いて実際に支給される額が計算されます。
勤務する会社から、入社による厚生年金被保険者資格の取得、退職による厚生年金被保険者資格の喪失、支払われる給与(標準報酬月額)や賞与(標準賞与額)についての届出が年金事務所にされることによって、カットされる年金額、実際に支給される年金額が計算されます。
しかし、その届出をした日や時期によっては、その届出が反映された年金額の支払が本来の偶数月の支払日に間に合わない場合もあります。その場合に、次の偶数月を待たず、その前の奇数月に支払われることがあります。
例えば、在職中(厚生年金加入中)で、【図表1】の計算式を用いた結果、年金額が全額カットされていた人が、8月末に退職し、9月分から年金が全額支給されるようになった場合。
8月分がなく、9月分のみ本来10月15日に支払がされるところ、10月15日に支払がされなかった場合は、12月15日より前の11月15日に支払がされることがあります(【図表2】の例)。
このように、それまで年金が止まっていた人に、突如奇数月で振り込まれることもあります(支払額についての通知は事前に送られます)。受け取れる年金額に変化があったことになりますので、奇数月に振り込まれる場合はその内容を確認してみましょう。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー