

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
1982年生まれ。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役。
資格学校勤務時代には教材編集等の制作業務や学習相談業務に従事し、個人開業の社会保険労務士・FPとしては公的年金に関する研修講師を務め、また、公的年金の相談業務も経験してきている。
これらの経験を活かして、専門誌で年金に関する執筆を行っている。2018年に、年金やライフプランに関する相談・提案、教育研修、制作、調査研究の各事業を行うための株式会社よこはまライフプランニングを設立、横浜を中心に首都圏で活動中。日本年金学会会員、日本FP学会準会員。
公的年金制度の遺族年金の種類
夫が亡くなった場合に妻が受け取れる公的年金制度の遺族年金には、国民年金制度の遺族基礎年金と厚生年金保険制度の遺族厚生年金があります。
遺族基礎年金は高校卒業までの子(一定の障害がある場合は20歳未満の子)がいることが受給の条件で、夫が亡くなり、妻とそういった子どもが遺された場合、子どもが高校を卒業するまで(一定の障害がある場合は20歳まで)受給可能な年金です。
一方、遺族厚生年金は会社員である人や会社員であった人が亡くなった場合に、亡くなった人の厚生年金加入記録を基に計算され、支給される年金となっています。
再婚をした場合などは受給権がなくなりますが、遺族厚生年金は子どもがいなくても受給が可能で、妻は終身で受けることもできます(ただし、60歳台になると妻自身の老齢年金との調整がかかって受けられなくなる場合があります)。
会社員として在職中だった夫が亡くなり、先述の子どもがいれば、妻は【図表1】のように遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給できます。

子どものいない30歳未満の妻の遺族厚生年金
会社員の夫を亡くし、子どもがいない20歳台の妻でも、遺族基礎年金はありませんが、遺族厚生年金は受けられます。しかし、夫の死亡当時、子ども(胎児を含む)がいない場合については、いる場合と異なり、注意点があります。
終身で受け取ることも可能な遺族厚生年金については、若い妻の場合は例外があります。夫の死亡当時、妻が30歳未満で子どもがいなければ、つまり、遺族基礎年金を受けなければ、遺族厚生年金は夫の死亡から5年間しか受けられません。
妻自身の今後の就労や再婚の可能性を踏まえて、5年の有期年金とされているのです。
夫の死亡当時、妻が28歳であれば、遺族厚生年金は28歳から33歳までしか受け取れないことになります(【図表2】)。もちろん、5年経過する前に再婚した場合等についても遺族厚生年金を受ける権利はなくなります。

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有期年金となる遺族厚生年金
仮に遺族厚生年金が年間35万円だった場合、5年間の合計で175万円程度受ける計算になります。その5年間の年金には、子がいない中高齢の妻を対象とした中高齢寡婦加算(40歳以上65歳未満を対象。2019度年額:58万5100円)も加算されません。
30歳前で、若くして遺族厚生年金を受けることは少ないかもしれませんが、万が一、30歳未満の妻が遺族厚生年金のみ(遺族基礎年金なし)で受け取ることになった場合、終身で受け取れる年金ではないので、受給できる期間と受給できる年金額を確認しながら、今後のマネープランを考える必要があるでしょう。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー