定年後も働き続けるなら、知っておきたい年金のこと。いくらを超えたら年金減額?
配信日: 2019.09.16
今回は、定年後の働き方への備えと注意点について考えてみたいと思います。
佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー
立命館大学卒業後、13年間大手小売業の販売業務に従事した後、保険会社に転職。1 年間保険会社に勤務後、保険代理店に6 年間勤務。
その後、コンサルティング料だけで活動している独立系ファイナンシャルプランナーと出会い「本当の意味で顧客本位の仕事ができ、大きな価値が提供できる仕事はこれだ」と思い、独立する。
現在は、日本FP協会佐賀支部の副支部長として、消費者向けのイベントや個別相談などで活動している。また、佐賀県金融広報アドバイザーとして消費者トラブルや金融教育など啓発活動にも従事している。」
長く働くためのリカレント教育
「LIFE SHIFT」(リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット著)では、長く生きる時代には、ほとんどの人はこれまでよりもかなり長い年数働かなくてはならなくなると書かれています。
今までのように、教育を受け、就職し、老後を過ごす人生(3ステージ型)ではなく、人生に数度の仕事の転換や学びなおしなどを繰り返す「マルチステージ」を考えておく必要があります。
そして、「LIFE SHIFT」では、長く働くために3つの無形資産が重要だと説いています。3つの無形資産とは、生産性資産(知識やスキル)・活力資産(肉体的・精神的な健康と幸福)・変身資産(多様な人的ネットワーク)です。
この3つの無形資産をどの時期にどれを伸ばすかを計画的に考えることが必要となります。そのために、自分への長期投資として学びなおしのリカレント教育が必須と考えられます。
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定年後働き続けるためのプランニング
内閣府の「平成29年版高齢社会白書(概要版)」によると、「働けるうちはいつまでも働きたい」が42.0%で最も多く、次に多いのが、「70歳くらいまで」(21.9%)、「65歳くらいまで」(13.5%)という回答です。
しかし、高齢期の就労で注意しなければならないのは、自分が、いつまで健康で仕事ができるかということです。
厚生労働省のデータによると2016年の健康寿命は、男性が72.14歳、女性が74.79歳です。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことです。定年後働き続けるためのプランニングとして健康寿命のデータをもとにいつまで働けるかを想定してみてはいかがでしょうか。
定年後働く人が知っておきたい在職老齢年金のしくみ
さて、いつまで働くかを決めた後に大切なことが受け取る年金の問題です。在職老齢年金をご存じでしょうか?日本年金機構HPでは、下記のように説明されています。
「60歳以降在職(厚生年金保険に加入)しながら受ける老齢厚生年金を在職老齢年金といい、賃金と年金額に応じて年金額の一部または全部が支給停止される場合があります。」
以下のケースは、年金調整(減額または全額支給停止)されます。
60歳~64歳は、基本月額+総報酬月額の合計額が28万円を超える場合
(基本月額とは、老齢厚生年金(年額)を12で割ったもの)
(総報酬月額とは、標準報酬月額(4・5・6月の給与平均額)と標準賞与額(直近1年間に受けた賞与総額を12で割ったもの)の合計額)
フローチャートで在職老齢年金がどの様になるのか把握して見ましょう。
【60歳~64歳の在職老齢年金の計算方法】(平成31年度)
65歳~69歳は、基本月額+総報酬月額の合計額が47万円を超える場合
(基本月額とは、老齢厚生年金を(年額)を12で割ったもの)
(総報酬月額とは、標準報酬月額(4・5・6月の給与平均額)と標準賞与額(直近1年間に受けた賞与総額を12で割ったもの)の合計額)
【65歳~69歳の在職老齢年金の計算方法】(平成31年度)
在職老齢年金が、減額されない範囲で働くことも選択肢のひとつですが、働いただけ収入やその後の年金を増やせることも念頭に置いておきたいものです。定年後の働き方は、人それぞれです。ご自身のライフスタイルに合わせて、できるだけ早い段階で考えておいた方がいいでしょう。
出典
『LIFE SHIFT/100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)
平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査結果(全体版)
厚生労働省「平成30年版高齢社会白書(概要版)」
執筆者:廣重啓二郎
ファイナンシャルプランナー、DCアドバイザー、相続支援士