更新日: 2019.07.27 その他年金

【FP解説】障害年金の疑問解決! 「20歳前障害に該当しませんか?」

【FP解説】障害年金の疑問解決! 「20歳前障害に該当しませんか?」
障害年金の請求を決めたものの、とっかかりとなる初診日の証明などで困っている場合に役立つ「初診日問題解決法シリーズ」。第3回は「20歳前障害に該当しませんか?」です。
 

お父さんやお母さんにも尋ねてみよう

初診日の保険料納付要件(以下、納付要件)が満たせないからといって、障害年金の請求を簡単にあきらめてはいけません。ぜひとも、20歳になる前に受診していないかよく考えてみましょう。
 
20歳になるまでは、国民年金の加入義務がありませんから、20歳になる前に初診日がある場合は、納付要件が問われません。自分では20歳になる前に受診していないと思っていても、受診したことを忘れていたり、別の病気と勘違いしていたりするのはよくあることです。
 
小学校などで授業中に体調を崩し、学校医のところへ連れて行ってもらったなどというケースもあります。就学前などの幼いときだと、もっと可能性が大きくなりますね。念のため、お父さんやお母さんに尋ねてみましょう。
 

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「相当因果関係」があれば、別の傷病でもよい

20歳になる前の受診は、これから障害年金を請求しようとしている傷病と、必ずしも同じ傷病でなくても構いません。ただし、関連がなければなりません。この関連のことを「相当因果関係」といいます。説明が難しくなりますので、具体例を挙げてみます。
 
Aさん(25歳)の現在の傷病名は高次脳機能障害です。19歳のときに交通事故で頭部などを強打し、外科に入院していたことがありました。Bさん(22歳)の現在の傷病名は統合失調症です。高校生だった17歳のときに不眠症に悩み、神経科を受診していました。
 
Aさんの「頭部打撲」と「高次脳機能障害」、Bさんの「不眠症」と「統合失調症」は、相当因果関係になる可能性が濃厚です。これらの相当因果関係が認められれば、初診日が20歳前になるのです。
 

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主治医と認定医が、共に認めてくれるのが条件

ただし、現在の主治医が相当因果関係を認め、これに沿った診断書を書いてくれたうえに、日本年金機構の認定医もこれを認めてくれなければなりません。
 
傷病の状態は人それぞれですし、Aさんの高次脳機能障害やBさんの統合失調症には別の要因が関係しているかもしれませんから、この辺は難しいところです。
 

ありがたい制度だが、リスクもある

「20歳前障害」は、初診日の納付要件が満たせない人にとってはありがたい制度ですが、リスクもあります。
 
ひとつは、受給者の年間所得額が多くなると、支給が調整されてしまう点です。2人世帯の場合、所得額が398万4000円を超えると、年金額の半分が支給停止になり、500万1000円を超えると全額支給停止になります。
 
この金額は、収入額ではなく所得額である点や、扶養親族の年齢などによっても異なる点にご注意ください。また、次のようなことに該当すると、支給が停止されます。
 
・日本国内に住所がなくなった場合
・労災保険で年金給付を受ける場合
・刑務所(未決勾留は除く)や少年院に収容された場合

 
こうした支給停止があるのは、20歳前障害は納付要件を問われない点で、どちらかというと、「保険」よりも「福祉」に近い制度だからなんですね。
 

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20歳到達日の前後3ヶ月以内の現症日の診断書でよい

障害認定日に障害等級に該当していたとして行う認定日請求の場合、通常は、認定日以後3ヶ月以内の現症日の診断書が必要です。
 
しかし、20歳前障害の場合は、20歳到達日の前後3ヶ月以内の現症日の診断書でよいとされています。計6ヶ月間ですから、この期間に受診している可能性はより大きくなるでしょう。
 
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士
 

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