更新日: 2019.06.13 iDeCo(確定拠出年金)

国民年金保険料をうっかり払い忘れた…iDeCoに加入できない?

執筆者 : 前田菜緒

国民年金保険料をうっかり払い忘れた…iDeCoに加入できない?
iDeCoの加入条件の一つに「国民年金保険料を納付していること」という条件があります。会社員であれば、年金を払い忘れることは、ほぼないと思いますが、自営業の方など第1号被保険者は、うっかり払い忘れることがあるかもしれません。
 
たとえば、残高不足で口座振替ができなかったというケース。この場合、iDeCoの取扱はどうなるのでしょうか?実は、口座振替ができなかったケースにおいても、国民年金保険料を納付していないと扱われ、iDeCoの掛け金を拠出できないことがあります。
 
前田菜緒

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ

保険代理店勤務を経て独立。資産運用と保険に強いファイナンシャル・プランナーとして、子育て世代向けに相談やセミナーを行っている。全国どこからでも受講可能なオンラインセミナーを毎月開催。自宅で学べる手軽さと講座内容のわかりやすさが好評。子どもが寝てからでも参加できるよう、セミナーや相談は夜も行っている。

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国民年金保険料が引き落としできなかった場合

国民年金保険料の納付方法は、口座振替、クレジットカード払い、納付書があります。口座振替やクレジットカード払いだと手間がかかりませんから、これらの方法を選択されている方もいることでしょう。
 
しかし、気をつけたいのが残高不足です。口座振替のケースだと、残高不足による引き落とし不能の場合、毎月の支払いなら、翌月にもう一度だけ再振替となります。6か月前納や1年前納、2年前納をされている方は、次回の前納振替日までに自動的に翌月末振替となります。
 
たとえば、6か月前納をされている方が、4月末の引き落とし日に残高不足となった場合、5月から10月まで毎月支払いとなります。次の6か月前納の引き落とし日が10月なので、10月は6か月前納分と毎月振替分の合計7か月分の引き落としがかかるということです。
 
いずれの場合においても、再振替ができれば、国民年金未納とはならず、iDeCoの加入資格はあります。
 

年金もiDeCoも引き落としができなかった場合

国民年金保険料の場合は、残高不足で引き落としができなくても、再振替の制度があります。
 
しかし、iDeCoは残高不足で引き落としができなかったとしても、再振替はされませんし、後日、納付することもできません。その月は、掛け金の拠出が行われなかったものとして扱われます。
 
なお、iDeCoで掛け金を拠出している限り、毎月手数料がかかります。国民年金基金連合会に支払う手数料103円と事務委託先金融機関に支払う手数料64円、そして、運営管理機関によっても手数料がかかります。
 
掛け金の振替ができなかった月は、103円はかかりませんが、その他の手数料はかかるので注意が必要です。
 

年金は引き落としができず未納、iDeCoは引き落としできた場合

iDeCoは国民年金保険料を納付していなければ、加入することはできません。この加入に関するチェックは、毎年3月に国民年金基金連合会が行っています。
 
たとえ、iDeCoの引き落としができたとしても、国民年金保険料が未納であればiDeCoに加入できず、拠出した掛け金は返金されることになります。
 
その際、還付手数料がかかります。金額は運営管理機関によって異なり、1,461円〜2,000円ほどになります。iDeCoは、掛け金を拠出する際にも手数料がかかりますから、このようなケースでは、拠出する際も還付される際にもダブルで手数料がかかることになります。
 
また、拠出した掛け金ですでに運用が行われています。還付されることになるとその商品は売却され、還付されます。運用状況によっては、不本意な売却となる可能性があります。
 

国民年金・iDeCoとも残高不足には充分に注意

国民年金保険料の引き落としができず、未納となってしまった場合、iDeCoに与える影響は小さくありません。iDeCoの掛け金が拠出できなかった月は加入期間としてもカウントされません。引き落とし不能が発生しないよう、残高不足には充分に注意しておきましょう。
 
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
CFP(R)認定者
 

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