確定拠出年金の受け取り、一時金と年金で税金はどう違う?
配信日: 2019.05.23 更新日: 2019.06.14
受け取り方によってかかる税金の種類が異なることをご存知でしょうか。
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執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。
一時金で受け取る場合の税金
確定拠出年金には、企業型と個人型がありますが、受け取る際の税金の仕組みはどちらも同じです。老齢給付金としての確定拠出年金は、原則として60歳まで受け取ることはできません。
確定拠出年金を一時金で受け取る場合、「退職所得」として分離課税され「退職所得控除」を差し引いた分に所得税、住民税がかかります。確定拠出年金の他に一時金で受け取る退職金があれば、合算したものが退職所得となります。
退職所得控除額は、勤続年数が20年以下の場合は、40万円×勤続年数で算出します。また、勤続年数が20年を超える場合は、800万円+70万円×(勤続年数-20年)です。
課税される退職所得金額は、下記のように退職金から先ほど算出した退職所得控除額を差し引いて、さらに2分の1を乗じたものになります。
課税退職所得金額={退職金(源泉徴収前の金額)-退職所得控除額}×1/2
なお、所得税と併せて、所得税の2.1%が復興特別所得税として課税されます。
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年金として受け取る場合の税金
確定拠出年金を年金として受け取る場合は、「雑所得」として他の所得とともに総合課税されます。確定拠出年金は老齢基礎年金、老齢厚生年金等と同様に、65歳未満の場合は年間70万円まで、65歳以降は年間120万円までは公的年金控除が受けられます。
ただし、公的年金控除は確定拠出年金だけでなく、他の公的年金等との合算額で判断されますので、受け取る公的年金が多い方は課税される税金も増えていきます。また、公的年金の他に不動産所得や給与所得などがあれば、それらの所得も総合して所得税、復興特別所得税、住民税がかかります。所得によって決められる国民年金保険料や介護保険料も増えていく可能性もあります。
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一時金と年金、どのように受け取るのがいい?
確定拠出年金は、60歳から70歳までの間の自分の好きなタイミングで受け取ることができます。また、確定拠出年金は一時金として受け取ることも、年金として受け取ることもでき、さらに組み合わせて受け取ることもできますので、どのように受け取ったら税金の負担が少なくなるのかということを考える方も多いでしょう。
ただし、難しいのがその人の受け取る退職金制度の仕組みや、公的年金などによってどちらがいいと一概に言えないところです。退職所得控除を考慮すると、一時金として受け取ると税金がゼロになるというような場合には、一括で受け取る方がいいかもしれません。しかし、一括で受け取った退職金を結局どう運用していいのかわからない場合もあるでしょう。
このような場合、確定拠出年金は運用益が非課税というメリットもありますので、一括で受け取らずに運用を続けて、一部を年金として受け取りつつ資産を殖やしていくという選択肢もあります。
また、公的年金の受け取り開始の、65歳までの間に年金として受け取れば、確定拠出年金だけが公的年金控除対象となり、節税メリットを受けることもできる場合もあるでしょう。
このように、どのような受け取り方がいいのかはその人の状況によって異なります。税金だけでなく確定拠出年金にかかる手数料、運用益、他の社会保険料への影響も考慮する必要があります。これらの要素を総合的に考えて、受け取り方のプランを考えるようにしましょう。
執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)
DCアドバイザー