更新日: 2019.06.18 その他年金
業種ごとにどのくらい公的年金加入者がいるの?男女での違いとは?
業種ごとの就業者数を公的年金の加入状況から確認し、加入している公的年金の違いから業種ごとの特徴をイメージしてみました。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
男性は農林水産業だけ第1号被保険者数より第2号の方が多い
厚生労働省の公的年金加入状況等調査では、業種ごとにどのくらい公的年金加入者がいるかも調べています。その結果から、まずは男性の業種別加入者数をグラフにしてみました。業種は調査で分類している23業種とし、不詳は除いています。
※加入者数に被用者年金保険の老齢年金受給者等は含まれていません。
業種別公的年金加入状況(男性)
2016年(平成28年)の公的年金加入状況を業種別にみてみると、男性(15歳以上)では製造業の加入者数が他を圧倒しています。加入者総数3162.9万人のうち製造業だけで701.2万人にもなり、全体の22.2%を占めています。
2番目に多いのは建設業の310.9万人(9.8%)、3番目が卸売・小売業290.1万人(9.2%)、4番目が運輸業・郵便業の236.2万人(7.5%)で、これらの4業種でほぼ半数になります。
加入者数の内訳で第1号被保険者が最も多いのは建設業の92.2万人で、2番目が製造業(63.5万人)、3番目が卸売・小売業(59.1万人)となっています。第2号被保険者が最も多いのは製造業の636.7万人で、2番目が卸売・小売業(230.6万人)、3番目が建設業(217.9万人)となっています。
23業種の中で農林水産業だけ第1号被保険者数が第2号を上回っており、飲食店・宿泊業や生活関連サービス業・娯楽業も比較的第1号被保険者の割合が高くなっています。
第1号被保険者数の割合が高いこれらの業種は、会社組織になっていなくても自営業として比較的働きやすいと言えそうです。男性の第3号は多くの業種にいますが、グラフでは第3号の赤色に気が付かないほど少数派となっているのが現状です。
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女性は飲食店・宿泊業の3人に1人が第3号被保険者
次に女性の業種別加入者数を見てみましょう。男性とは大きく異なるグラフとなっています。
業種別公的年金加入状況(女性)
まず目につくのは、公的年金加入者数が多い業種が男性と異なるところです。
女性では公的年金加入者総数が2480.2万人で、業種別に最も加入者が多いのは医療・福祉業の535.5万人(全体の21.6%)となっています。次に多いのが卸売・小売業の341.9万人、その次が製造業の275.9万人となっています。
内訳をみると、第2号被保険者は全体と同じ3業種が特に多いですが、第1号と第3号は製造業の代わりに飲食店・宿泊業がTOP3に入っています。
加入者割合でみると、第1号被保険者の割合が最も高いのは農林水産業で60.5%にもなります。次に高いのが飲食店・宿泊業(41.5%)、その次が生活関連サービス業・娯楽業(34.1%)なので、農林水産業の割合の高さが際立っています。
第2号の割合が最も高いのは金融・保険料で85.1%にもなります。情報通信業(84.1%)や公務(84.2%)等も第2号の割合が高く、これらは自営では難しく企業や役所等に勤めるのが一般的と言えます。
第3号の割合が最も高いのは飲食店・宿泊業(34.0%)で、次が運輸業・郵便業(26.6%)、その次が卸売・小売業(26.1%)となっています。
公的年金の加入状況をみるだけでも、業種ごとの特徴をかなり感じることができます。加入者数が多い業種であれば採用人数も多く、第2号被保険者の割合が高い業種であれば、厚生年金に加入できて老齢年金を確保しやすいと言えるでしょう。
職業の選択をする時は、やりがいや高収入等が重要なポイントになるでしょうが、働きやすさを考えた時には、公的年金の加入状況等も参考にしてみると良いかもしれません。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者