更新日: 2019.06.14 その他年金

年金を58歳から受け取れる国も?日本と他国の年金事情を比べてみた

年金を58歳から受け取れる国も?日本と他国の年金事情を比べてみた
日本の公的年金保険は、納める保険料の負担は増え続けているのに将来受け取る年金額は増えないので、将来本当に受け取れるのか心配な人も多いようです。
 
少子高齢化の影響が大きく、持続可能な制度にしていくためにはやむを得ないことなのかもしれませんが、このような厳しい状況は日本に限ったことではありません。他の国の年金事情と比べることで見えてくる日本の年金の現状を確認してみました。
 
松浦建二

執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

老齢年金を58歳から受け取れる国もある!

日本年金機構のホームページに、他の国の年金制度について概要が載っています。詳細までは確認できませんが、1970年生まれの人が受け取る老齢年金を想定して、下記の表に概要をまとめておきました。
 
主要各国の年金制度

 
年金制度への加入については、日本と同様に義務としている国が多く、所得や職種によって義務としている国が一部あります。オーストラリアは自営業者の加入は任意としています。
 
老齢年金を受け取るために必要な加入期間は、チェコのように35年も必要な国もあれば、ベルギーやフランス等のように最低期間を定めていない国もあります。日本は最低でも10年加入が必要で、当然ですが、長く加入して保険料を多く払えば、受け取れる年金額も増えます。
 
国による違いが分かりやすいのは受給開始年齢ではないでしょうか。インドは58歳から受け取れ、ブラジルの女性やフィリピンで退職している人は60歳から早々に受け取ることができます。一方で、アイルランドはインドより10年遅い68歳からの受け取りで、ドイツやアメリカ等では67歳からの受け取りとなっています。日本は通常65歳から受け取るので、まずまずと言ったところでしょうか。
 

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老齢年金の想定受給期間はトップ3に入る!

公的年金は基本的に終身で受け取れるので、受給開始年齢も重要ですが受給終了年齢も重要なポイントになります。とは言ってもいつ終了するかはわからないので、平均寿命を使って男女別に受給できる期間を計算してみました。
 
主要各国の平均寿命をもとにした老齢年金受給期間

 
男性で老齢年金を最も長く受け取れそうな国は、18.1年のフランスとなりました。平均寿命が80.1歳で日本並みに長寿なのに、比較的早い62歳から受け取れるので長期間となっています。
 
2番目が16.2年のスイスで、3番目に16.1年の日本が入ります。老齢年金を短期間しか受け取れなさそうな国は6.2年のフィリピンで、退職していない場合は僅か1.2年になってしまいます。ブラジルも6.4年でかなり短く、アメリカも日本より7.1年短い9.0年となっています。
 
女性でも老齢年金を最も長く受け取れそうな国はフランスで、平均寿命85.7歳、受給開始年齢62歳により、23.7年となっています。そして2番目に22.1年の日本が入り、3番目が21.2年のスイスになります。
 
老齢年金を短期間しか受け取れなさそうな国は12.3年のインドで、次に12.6年のフィリピン、14.0年のアメリカとなっています。
 
男女ともにフランス・日本・スイスの3か国が長期間受け取れそうな上位に入り、フィリピン・インド・アメリカが下位に入っています。国によって想定される受給期間に男性で11.9年、女性で11.4年もの差があります。日本は男女ともに長期間受け取れそうなので、比較的恵まれていると言えます。
 
しかし、これはあくまで平均値であり、個々においては当然状況が異なります。また、日本は今のところ65歳から受け取れますが、将来は受給開始年齢が変わるかもしれません。2年遅くなる67歳から受給開始であれば、まだまだ他の国より長く受け取れそうです。
 
他の国はわかりませんが、日本の国民年金は保険料も納付期間も男女同条件なのに、老齢年金を受給できる期間は女性の方が長いです。厚生年金保険も保険料率は男女一緒なので同じことが言えます。生命保険会社の個人年金保険では男女で保険料に差があることを考えれば、公的年金の老齢給付は特に女性にとって魅力的な制度と言えそうです
 
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
 

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