2年前に夫が亡くなり、いまは「遺族年金」で生活しています。やはり「再婚」したら支給は停止になるのでしょうか?
配信日: 2025.06.05


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再婚すると「遺族年金」の受給権を失う
日本年金機構によると、遺族年金を受けている人が失権事由に該当すると、遺族年金の受給資格がなくなります。具体的な失権事由と対象の受給権者・年金は表1の通りです。結婚(内縁関係を含む)は失権事由に該当するので、再婚すると遺族年金を受給できなくなります。
表1
失権事由 | 対象者 (遺族基礎年金) |
対象者 (遺族厚生年金) |
---|---|---|
・死亡 ・結婚(内縁関係を含む) ・直系血族・直系姻族以外の養子になった |
妻・夫・子 | 全ての受給権者 |
受給権を持つ子が次のいずれかに当てはまる ・死亡 ・結婚(内縁関係を含む) ・受給権者(妻・夫)以外の養子になった ・故人と離縁した ・受給権者(妻・夫)と生計が別になった ・18歳へ到達する年度の末日に到達した(障害等級1・2級の場合は20歳) ・18歳へ到達する年度の末日に到達した後、 20歳未満で障害等級1・2級に当てはまらなくなった |
妻・夫 | なし |
・夫の死亡時に30歳未満の子のない妻が受給権の取得から5年経過した ・遺族基礎・厚生年金を受け取っていた妻が30歳に到達する前に受給権を失い、 その失権から5年経過した |
なし | 妻 |
・故人と離縁した | 子 | 子・父母 |
・離縁により故人と親族ではなくなった | なし | 孫・祖父母 |
・故人の死亡当時、胎児だった子どもが生まれた | なし | 父母・孫・祖父母 |
・18歳へ到達する年度の末日に到達した(障害等級1・2級の場合は20歳) ・18歳へ到達する年度の末日に到達した後、 20歳未満で障害等級1・2級に当てはまらなくなった |
子 | 子・孫 |
※日本年金機構「遺族年金を受けている方が結婚や養子縁組などをしたとき」を基に筆者作成
一定の要件を満たした子が「遺族年金」を受給できる可能性がある
日本年金機構によると、故人の妻が遺族年金を受けている間、子には支給されません。しかし、妻が死亡・結婚した場合は妻に代わって子が遺族年金を受領可能となります。
ここでいう子とは、18歳へ到達する年度の末日までにある人、もしくは20歳未満で障害等級1・2級の状態にいる人です。ただし、直系血族や直系姻族以外の養子になった場合は受給権を失います。
遺族厚生年金の平均受給額は「8万2569円」
厚生労働省によると、平均受給額は遺族厚生年金が8万2569円、遺族基礎年金が8万6500円です。ただし、実際の受給額はそれぞれの状況によって異なります。
遺族厚生年金の年金額は故人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3です。一方、遺族基礎年金の受給額は子どもの人数に応じて決まり、子どもがいない場合は受給できません。日本年金機構のホームページを基に、遺族基礎年金の受給額を表2にまとめました。
表2
子のある配偶者(1956年4月2日以降生まれ) | 83万1700円+子の加算額 |
子のある配偶者(1956年4月1日以前生まれ) | 82万9300円+子の加算額 |
子 | 83万1700円+2人目以降の子の加算額 |
※日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」を基に筆者作成
※子の加算額は1・2人目の子が各23万9300円、3人目以降の子が各7万9800円です。
まとめ
結婚は失権事由に当てはまるため、再婚すると遺族年金の支給が停止されるでしょう。ただし、一定の要件を満たした子は故人の妻に代わって遺族年金を受領可能になります。また、平均受給額は遺族厚生年金が8万2569円、遺族基礎年金が8万6500円です。
出典
日本年金機構 遺族年金を受けている方が結婚や養子縁組などをしたとき
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
厚生労働省 令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー