専業主婦で「これまで年金払ってない」という母。もうすぐ60歳なのですが「受け取れる年金」はゼロなのでしょうか? 子どもとして“援助”すべきですか?

配信日: 2025.06.20

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専業主婦で「これまで年金払ってない」という母。もうすぐ60歳なのですが「受け取れる年金」はゼロなのでしょうか? 子どもとして“援助”すべきですか?
親がある程度の年齢になってくると、親の生活が心配になることもあるでしょう。
 
老後の生活を支える大きな収入の1つが年金です。しかし、専業主婦だった母親が「年金保険料を払ってこなかった」と話していた場合、「母親は年金がもらえない? 老後の生活は自分たちが支えるべき?」と焦ってしまうかもしれません。
 
本記事では、ずっと専業主婦で年金保険料を払ってこなかった母親に年金受給資格があるのかや、子どもとしてできる支援について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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年金を納めていない専業主婦でも年金はもらえる?

日本の年金制度には、20歳以上60歳未満の全ての人が加入する「国民年金」と、会社員・公務員などが加入する「厚生年金」があり、要件を満たす全ての人が何らかの形でこれらに加入する義務があります。専業主婦も、もちろん例外ではありません。
 
専業主婦として会社員の配偶者に扶養されている場合、年収などの要件を満たせば国民年金の第3号被保険者となります。そして、第3号被保険者である期間は、国民年金に加入したことになり、その期間に応じて老齢基礎年金を受け取る権利があるのです。
 
なお、同じ専業主婦でも、夫が自営業者だった場合、自ら国民年金の保険料を負担する第1号被保険者となります。もし、夫が自営業者である専業主婦が自分の年金保険料を払っていない場合、その期間については国民年金保険料が未納であり、年金受給の計算にも含まれません。
 

年金を受け取るために必要な加入期間

国民年金の加入者は、原則として65歳以降に老齢基礎年金を受け取れます。そして、老齢基礎年金を受け取るには、保険料納付済期間や免除期間などを合算して合計10年以上、国民年金の加入期間が必要です。
 
つまり、専業主婦であり、第3号被保険者として10年以上の期間がある場合、それだけで年金受給資格を満たすことになります。仮に20年、30年と夫の扶養に入り続けていれば、その年数分、年金を受け取れる可能性があるのです。
 
ただし、老齢基礎年金の金額は加入年数に応じて按分されます。例えば、老齢基礎年金の満額は令和7年度においては年間で83万1700円です。これは40年間(480ヶ月)加入した場合の金額ですので、加入期間が20年であれば約42万円となります。
 

加入期間が不足している場合は「任意加入制度」を利用

国民年金の加入期間が10年未満で受給資格を満たしていない場合や、10年以上あっても40年には及ばず年金受給額を満額に近づけたい場合、任意加入制度を利用することで、加入期間を補うことが可能です(60歳以上65歳未満が対象)。
 
ただし、任意加入制度を利用するためには、「老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない」「厚生年金保険、共済組合等に加入していない」などの諸条件を全てクリアする必要があります。
 

子どもとしてできること

親の老後の生活が心配な場合、子どもとしてどう対応すれば良いのでしょうか? 今回は年金関連を中心に、ステップ別に見ていきます。
 

ステップ1:状況を丁寧に確認する

まずは母親に、年金の加入歴や扶養状況、保険料の納付歴などについて聞いてみましょう。「何も払っていない」と言っていても、第3号被保険者だった期間は国民年金の加入期間にカウントされるので、よく確認してください。
 
母親自身がよく分かっていない場合、ねんきん定期便などを通じて状況を確認してみるのも良いでしょう。
 
また、年金も重要ですが、貯蓄状況や就業状況も確認したいところです。総合的な収入や貯蓄がどれくらいあり、自力で生活できるだけの余裕があるのかどうかを確認しましょう。
 

ステップ2:任意加入の検討

国民年金の加入期間が少ない場合、任意加入制度で将来の年金額を補てんできます。年金保険料の支払いが本人にとって負担になるようであれば、子どもが援助することも1つの選択肢です。
 
なお、親の国民年金保険料を子どもが払っても、「生活費の援助」とみなされるため贈与税はかかりません。
 
また、親子で生計を一にしている場合(親と同居しているか、親に生活費を仕送りしているようなケース)、親の年金保険料を代わりに支払うと子ども自身の所得から控除できます。年末調整や確定申告の際、忘れずに申告しましょう。
 

ステップ3:無理のない範囲で金銭的サポート

仮に親の老後の生活が苦しくなった場合には、自身に無理のない範囲で援助を検討してもよいでしょう。公的支援や福祉サービスをうまく活用することも忘れないようにしましょう。
 

まとめ

専業主婦として生きてきた母親が、「年金保険料は払ってこなかった」と言っていたとしても、実際には夫の扶養に入っていた期間があることで、老齢基礎年金を受け取れる可能性は十分にあります。まずは正確な加入期間を確認し、受給資格の有無を調べることが大切です。
 
そして、受給資格を満たしていない場合にも、国民年金の任意加入という選択肢があります。子どもとしては、親の年金状況を一緒に調べ、必要に応じて金銭的なサポートを検討するなど、できることから始めてみましょう。
 

出典

日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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