年金制度改正法の成立で「年金保険料」が値上げに! 影響があるのは“高年収”の人だけ?「年収500万円」の会社員に影響はあるの? 保険料の「増加額」についても解説

配信日: 2025.06.18

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年金制度改正法の成立で「年金保険料」が値上げに! 影響があるのは“高年収”の人だけ?「年収500万円」の会社員に影響はあるの? 保険料の「増加額」についても解説
2025年5月30日、年金制度改正法が衆議院を通過し、6月13日に成立しました。今回の改正では、高所得者の厚生年金保険料を段階的に引き上げる内容になっています。
 
年収500万円の場合、改正によって保険料は値上げされるのでしょうか?
 
本記事では、年金制度改正法の概要と影響について解説します。また、厚生年金保険料の計算方法についても紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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年金制度改正法で影響があるのは「年収798万円」以上の人

今回の年金制度改正法によって影響があるのは、「年収798万円」以上の人です。そのため、年収500万円の場合、保険料に影響はありません。
 
改正法では、保険料の計算に使われる「標準報酬月額」の上限を段階的に引き上げる案が提出されています。現行の制度では、厚生年金の標準報酬月額の上限は「65万円」となっています。
 
標準報酬月額65万円に該当するのは、賞与を除く年収で「762万円以上798万円未満」の人です。そのため、今回の改正法によって保険料が増えるのは、年収798万円以上の人となります。
 

厚生年金保険料の決まり方

厚生年金保険料の計算方法は、次の通りです。
 
・標準報酬月額×保険料率÷2
 
標準報酬月額は、毎月の給料を一定の等級に区分した金額のことです。例えば、標準報酬月額が65万円に該当するのは、月給で63万5000円以上68万5000円未満の人、年収換算で762万円以上798万円未満の人になります。
 
保険料率は、厚生年金は「18.3%」で固定されています。したがって、標準報酬月額が65万円の人の場合、厚生年金保険料は「65万円×18.3%=11万8950円」となります。
 
さらに、厚生年金は労使折半ですので、算出された保険料を2で割ります。すると、「11万8950円÷2=5万9475円」となります。
 
したがって、月給63万5000円から68万5000円の人は、厚生年金保険料として毎月「5万9475円」を支払うことになります。
 

年収798万円以上の人の負担はどれくらい増える?

それでは、改正法が成立して施行された場合、どのくらい負担額が増えるのでしょうか。
 
今回の改正法では、標準報酬月額の上限が現行の65万円から「68万円→71万円→75万円」と段階的に引き上げられる見込みです。健康保険の等級を参照すると、それぞれの等級とそれに該当する月給は図表1のようになるでしょう。
 
図表1

図表1

全国健康保険協会 令和7年3月分(4月納付)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表 より筆者作成
 
それぞれの場合に、どれくらい毎月の保険料が現在よりも増えるのかは、図表2の通りです。
 
図表2
図表2

月収66万5000円以上、年収798万円以上になると、段階的に保険料負担が増えていきます。最大増加額は月収73万円以上(年収876万円以上)の人の場合で、月々の保険料が9150円、年間で10万円以上増える見込みです。
 

年収500万円なら保険料の増額はなし!

今回の年金制度改正法では、年収798万円以上の人の厚生年金保険料を増やすことが検討されています。そのため、年収500万円の人であれば保険料の額は変わらないでしょう。
 
標準報酬月額の引き上げは、2027年9月1日から1年ごとに3回に分けて行われる予定です。なお、法は2025年6月13日に可決しました。該当する年収の人は、自身の保険料について認識しておきましょう。
 

出典

厚生労働省 年金制度改正法が成立しました
全国健康保険協会 令和7年3月分(4月納付)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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