「月6万円の年金じゃ暮らしていけない」と祖母が嘆いています。実際に高齢者の年金はどのくらいが“普通”なのでしょうか?

配信日: 2025.06.15

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「月6万円の年金じゃ暮らしていけない」と祖母が嘆いています。実際に高齢者の年金はどのくらいが“普通”なのでしょうか?
「うちのおばあちゃん、年金が月6万円くらいしかないんだよね」
 
そんな話を聞いたことはありませんか? あるいは、あなた自身の家族がそうかもしれません。高齢化が進む中、年金だけで生活できるのかという不安は、誰にとっても身近な問題です。
 
この記事では、「年金月6万円台って本当に少ないの? 」「みんなはどれくらいもらっているの? 」という疑問に答えながら、年金の仕組みや将来に向けた対策まで、わかりやすく丁寧に解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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年金月6万円台は本当に少ないのか?

総務省の家計調査や各種統計によれば、高齢単身者の平均的な消費支出は約13万円とされており、月6万円では半分にも満たないのが現実です。とはいえ、このような金額の方が珍しいわけではありません。
 
特に、自営業者や長年専業主婦だった方、非正規で働いていた方に多く見られます。つまり、祖母世代にとって「月6万円台」は、意外と“あるある”な年金額なのです。
 

年金の平均額はどれくらい? 国民年金と厚生年金の違い

年金には2つの柱があります。「国民年金」と「厚生年金」です。厚生労働省が公表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和5年度)によるとそれぞれの平均月額は以下のとおりです。
 

1.国民年金(老齢基礎年金)

・男性 5万9965円
 
・女性 5万5777円

 

2.厚生年金(会社員など)

・男性 16万6606円
 
・女性 10万7200円

つまり、会社員として厚生年金に加入していた人と、自営業や専業主婦などで国民年金のみの人では、男女差はあるものの、2~3倍の差があることがわかります。祖母が6万円台というのは、おそらく国民年金のみを受け取っているケース。これは制度上、決して珍しくなく、法律に基づいた支給額なのです。
 

なぜこんなに年金額に差が出るのか?

同じ「老後」なのに、どうしてこんなに受け取る額が違うの?と思う方も多いでしょう。
 
・納付期間の違い
 
年金は納めた年数で決まります。満額(老齢基礎年金)をもらうには、20歳から60歳までの40年間しっかり払っている必要があります。免除や未納が多いと、その分減額されます。
 
・年金の種類が違う
 
厚生年金は収入に応じた「報酬比例部分」が加わります。国民年金にはこれがないため、どうしても金額が抑えられます。
 
・繰上げ受給を選んだ場合
 
60歳~64歳で早く受け取り始めると、1カ月につき0.4%ずつ減額され、最大で24%減ります。結果的に、長い老後生活で受け取る年金総額も少なくなります。
 
このような仕組みを理解していないと、「なぜこんなに少ないの?」という疑問を持つのは自然なことです。
 

年金が少ないと感じたら、今からできる3つの対策

たとえ年金額が少ないとわかっても、悲観する必要はありません。以下のような対策で、備えられます。
 
・繰下げ受給を選ぶ
 
年金の受給を65歳より遅らせると、1カ月遅らせるごとに0.7%増額され、最大で42%(70歳受給開始時)または84%(75歳受給開始時)まで増額できます。働けるうちは受給を遅らせるという選択も有効です。
 
・つみたてNISAで資産形成
 
少額でも、長期・分散・積立でコツコツと増やしていける制度。老後資金の“第二の柱”に。
 
・高齢者向け制度の活用
 
生活保護、高齢者向け住宅、医療費補助など、行政のサポート制度も確認しておくと安心です。
 

6万円でも「仕方ない」ではなく「備える」ことが大切

祖母の年金が6万円台だったとしても、それは制度上よくあること。しかし、それだけで安心できる生活を送るのは難しいのが現実です。
 
大切なのは、「少ないから無理」とあきらめることではなく、「今できることを知って、備える」こと。
 
年金制度はわかりにくく不安もありますが、仕組みを理解し、制度や制度外の備えを組み合わせれば、老後はもっと安心できるものになります。
 
今日この瞬間からでも遅くありません。自分や家族の未来のために、一歩を踏み出してみませんか?
 

出典

厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和5年度)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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