【厚生年金】毎月15万円もらうなら現役時代の「年収」はいくら?老後に必要な生活費も紹介
配信日: 2025.06.14

では、老後に毎月15万円の厚生年金を受け取るためには、現役時代にどれくらいの年収が必要なのでしょうか? また、老後の生活費は実際にどれくらいかかるのでしょうか?
この記事では、厚生年金の仕組みや受給額の計算方法、さらに老後に必要な生活費について分かりやすく解説します。

行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
厚生年金の基本と、受給額の決まり方
厚生年金とは、主に会社員や公務員などが加入する公的年金制度です。国民年金(基礎年金)に上乗せ支給されるといったような手厚い保障が特徴の年金となります。
そして、厚生年金部分の受給額は、おおむね現役時代の平均年収と加入期間に応じて決まります。厚生年金の大まかな受給額の計算式は下記のようになります(平成15年4月以降の加入期間の場合)。
・年金額(報酬比例部分)=平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数
ここでいう「平均標準報酬額」は、ざっくりいえば毎月の給与と賞与の総額を加入期間で割って得た平均値です。
実際の年金額にはさらに国民年金(基礎年金)も上乗せされるため、正確な金額はもう少し複雑ですが、今回は国民年金部分を含んだ厚生年金を「月15万円もらうには?」という目安に絞って考えてみましょう。
月15万円の厚生年金をもらうには、年収いくら必要?
結論を申しますと、毎月15万円の厚生年金をもらうには、20歳から59歳までの40年間、年収480万円で働き続けることが必要です(厚生労働省「公的年金シミュレーター」を使用して試算)。
ただし、一時的に年収480万円あっても月15万円の年金をもらうことはできません。40代、50代と出世して役職がついてくるような年齢ならともかく、20代のうちからそれだけの額を実現するのはなかなか難しいことでしょう。
そういった場合は、60歳以降も引き続き働いて厚生年金に加入することで、月15万円の年金を実現することが可能な場合があります。例えば、20歳から65歳まで年収380万円で働くことができれば、月15万円の年金は実現可能になります。
老後の生活費はいくら必要?
年金だけで生活できるのかを判断するには、老後の生活費がどのくらい必要かを知ることも重要です。
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の消費支出は月額およそ26万円になっています。
年金を月15万円もらうことは簡単ではありません。ようやくもらった15万円であったとしても、それだけで生活することは難しいのです。
一方で、同調査によれば65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の消費支出は月額約15万円となっています。ここだけみれば何とか生活できるかと思われるかもしれません。
しかし、これはあくまで全国平均です。実際には居住地域、持ち家か賃貸か、介護の有無などによって大きく変わります。例えば、以下のような要因で差が出ます。
●住居費:持ち家なら管理費や修繕費、賃貸なら家賃など
●医療・介護費:年齢とともに増加する可能性がある
●交際費や趣味:生活の質に大きく関わる
●子や孫への支援:必要に応じて変動
このように、たとえ月15万円の年金をもらっていても、他の支出を考慮すると生活が厳しくなる可能性があることも認識しておく必要があります。
まとめ
厚生年金で月15万円を受け取りたい場合、現役時代の平均年収は480万円、加入期間は40年が目安となります。しかし、年金だけで安心して老後を暮らすには不十分な場合も多く、老後にかかる生活費も踏まえた上で、早めの資産形成と生活設計が不可欠です。
将来の自分のために、年金の仕組みを正しく理解し、今できる準備を少しずつ始めていきましょう。
出典
厚生労働省 公的年金シミュレーター
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2024年-(19ページ)
執筆者 : 柘植輝
行政書士