「年金支給日なのに振り込まれない…」と65歳の父が困惑!申請したつもりだったのに、実は忘れていた様子。さかのぼって請求できますか?
配信日: 2025.06.13

実は、厚生年金などの公的年金は、自動的には支給されないというのが原則です。受け取るには「自分で請求手続きを行う必要」があり、このことを知らずに支給日を迎えてしまう方も少なくないようです。
この記事では、「年金請求の基本」と「請求しなかった場合にどうなるか」、さらに「初回分のさかのぼり請求は可能か?」といった点について詳しく解説します。

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目次
年金は「請求して初めて」受け取れる
公的年金には、主に「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」があります。これらの年金は、一定の年齢になると自動的に口座に振り込まれるものだと思われがちですが、実際には請求しなければ受け取れません。
厚生年金の受給資格は、「一定の加入期間」と「所定の支給開始年齢(原則65歳)」に達した時点で発生しますが、そのままでは振り込まれないのです。
支給開始年齢に達する前、およそ3ヶ月前になると、日本年金機構から「年金請求書」が送られてきます。ここに氏名や基礎年金番号、住所、年金加入期間などが記載されており、それに必要事項を記入・返送することで、正式な請求手続きが完了します。
年金は5年までさかのぼって請求できる。ただし“時効”に注意!
「今からでも請求すれば大丈夫でしょ?」と思われる方もいるかもしれません。たしかに、公的年金は請求すれば過去分をさかのぼって受け取ることができます。ただし、ここには重要な制限があります。
年金には「時効(5年)」があります。支給開始年齢を過ぎてから請求を忘れていた場合でも、さかのぼって請求できるのは過去5年分までです。それ以前の年金は原則時効で受け取れなくなるのです。
例えば本来65歳からもらえるはずの年金を、70歳になってから請求した場合、過去5年分(65歳~69歳)の年金しか支給されず、5年より前の分は消えてしまうことになります。
これが月に10万円程度の年金だったとすれば、5年間で600万円もの損失になってしまう可能性もあるでしょう。
本人が忙しく、書類を確認していないことも
年金請求に必要な書類は、支給開始年齢の約3ヶ月前をめどに日本年金機構から郵送されます。
多くの場合は問題なく届きますが、本人が忙しかったり、体調不良だったりすると、封筒を開けずに放置してしまっているケースも珍しくありません。
特に現役を退いたばかりのタイミングでは、引っ越しや医療手続きなどでバタバタしていることもあり、「大事な書類を見落としていた」ということもあります。
また、最終的な年金加入先が「共済組合」の方は、日本年金機構ではなく共済組合から送付されるため、家族が気づきにくいこともあるようです。もしも請求書が届いていないようであれば、早めに年金事務所または共済組合に問い合わせて確認することが大切でしょう。
年金は「請求しないと受け取れない」。5年の時効にも要注意!
65歳の誕生日を迎えたのに年金が振り込まれていない……そんなときは、「年金の請求手続きが済んでいない」ことが原因かもしれません。
公的年金は、原則として請求の手続きを行って初めて支給が開始される仕組みになっています。年齢に達しただけでは、自動的に振り込まれるわけではないため、注意が必要です。
将来の生活を支える大切な収入を逃さないために、65歳を迎える前には、請求書類の確認と手続きを忘れずに行うとよいでしょう。
出典
日本年金機構 老齢年金請求書の事前送付
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー