お隣さんは「年金生活」のはずですが、頻繁に旅行をしていて生活に余裕がありそうです。「年金」ってそんなにもらえるものですか?
配信日: 2025.06.12

年金の受給額は人それぞれですが、時には他人との年金受給額やそれによる生活水準の差に驚きを感じることがあるかもしれません。そこで本記事では、年金の平均受給額について解説します。

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年金の平均受給額
老後に受け取れる年金には、大きく分けて公的年金と私的年金の2種類があります。公的年金とは国が運営する年金制度のことで、代表的なものは国民年金や厚生年金です。
対して、私的年金とは企業などが運営する年金制度のことであり、企業年金や国民年金基金、iDeCoなどがその代表例に挙げられます。
公的年金は条件を満たしていれば必ず加入しなければいけませんが、私的年金は企業や個人が任意で加入できます。そのため、私的年金に加入する場合はその種類選びも重要です。
老後に受け取る年金のうち、多くの方が受け取ることになるのは公的年金である国民年金と厚生年金でしょう。なお、国民年金は老齢基礎年金、厚生年金は老齢厚生年金とも呼ばれます。ここからは、国民年金と厚生年金における平均受給額について解説します。
国民年金
国民年金は日本に居住している、20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象となる年金制度です。保険料を納付した期間と保険料の納付を免除された期間の合計が10年以上であれば、原則65歳から受け取れます。
厚生労働省によると、令和5年度における国民年金の平均受給額は月額で5万7700円です。
国民年金には受給額の満額が設定されており、その額は経済状況などを考慮して毎年決定されます。国民年金の支給額は、その年の受給額の満額と保険料を納付した期間に応じて決まります。なお、国民年金を満額受け取るために必要な納付期間は480ヶ月分、つまり40年分です。
令和7年度の国民年金の満額は6万9308円です。令和6年度は6万8000円だったため、1308円増加しました。なお、令和5年度は6万6250円だったことから、その年の平均受給額とは8550円の差があります。
厚生年金
厚生年金の加入対象者は、企業に属する会社員や公務員などです。専業主婦(夫)や自営業者などは加入できないため、将来的に厚生年金の受け取りはできません。
また、厚生年金も国民年金と同様に、原則65歳から受け取れます。厚生年金制度に加入していた期間があり、国民年金の受給資格を満たしていると厚生年金を受け取れます。
厚生労働省によると、令和5年度における厚生年金の平均受給額は14万7360円です。なお、この金額は国民年金の受給額も含んでいます。
厚生年金の支給額は加入期間と当人の収入を基に算出され、収入が高いほど受給額も上がります。当然ながら収入額は人それぞれであり、場合によっては大きな差が生まれることもあるでしょう。それに伴い、年金の受給額も人によって大きな差が出ることがあります。
老後世帯の平均支出額
総務省の家計調査報告を参考に、65歳以上の単身無職世帯と夫婦のみの無職世帯における平均支出額を表1にまとめました。
表1
65歳以上の単身無職世帯 | 65歳以上の夫婦のみの無職世帯 | |
---|---|---|
消費支出額(月平均額) | 14万5430円 | 25万959円 |
非消費支出額(月平均額) | 1万2243円 | 3万1538円 |
合計額 | 15万7673円 | 28万2497円 |
※総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」より筆者作成
上記における非消費支出額とは、直接税と社会保険料を合わせたものです。国民年金を含めた厚生年金の平均受給額は14万7360円ですから、単身世帯であれば収支計算上は1万円ほどの赤字になります。
一方、夫婦2人世帯で両者が平均額の国民年金と厚生年金を受け取れる場合、月々の年金受給額は合わせて29万4720円です。この場合、収支計算上は1万2000円ほどの黒字になります。
ただし、あくまでも平均額による収支計算です。実際の支出額や年金受給額によっては、より大きく黒字になることもあるでしょう。
年金受給額は人によって大きく異なる
国民年金と厚生年金を合わせた平均受給額は、月々14万7360円です。65歳以上の無職世帯において、単身世帯の平均支出額は月々15万7673円、夫婦のみの世帯では28万2497円です。
あくまで平均額を基にした収支計算ですが、単身世帯では約1万円の赤字、夫婦のみの世帯では約1万2000円の黒字になります。ただし、夫婦2人が平均額の国民年金と厚生年金を受け取れる前提です。
国民年金や厚生年金の受給額は人それぞれですが、特に厚生年金は当人の収入によって受給額が決定されます。そのため、人によっては年金の受給額に大きな差が生まれることもあります。
その結果、年金生活でも生活水準に差が出ることはあるでしょう。年金だけでなく、貯蓄や働き方の工夫も組み合わせて、自分らしい老後を目指しましょう。
出典
厚生労働省 令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から1.9%の引上げです~
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
総務省 家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー