「任意加入制度」の利用で「満額の老齢年金」を受け取れる?60歳以降も「国民年金保険料を払い続けるメリット」を解説
配信日: 2025.06.11


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国民年金における「任意加入制度」とは?
任意加入制度とは、国民年金に未加入だった期間を、後から埋めることができる制度です。この制度を利用するためには、以下の条件を全て満たす必要があります。
・60歳以上65歳未満
・日本在住
・保険料の納付期間が480月(40年)未満の方
・老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない
・厚生年金保険、共済組合などに加入していない
また、以下のいずれかを満たしている人も利用可能です。
・65歳以上70歳未満かつ、年金の受給資格を満たしていない
・20歳以上65歳未満かつ、海外に居住している日本人
役場の年金窓口や、年金事務所で申請の手続きをすることができます。
60歳以降も「任意加入」で保険料を払い続けるメリット
・年金の受給資格を得ることができる
60歳の時点で受給資格がなかった場合、任意加入制度を利用することで受給資格を得ることができる場合があります。
老齢年金を受給するためには、10年以上の受給資格期間が必要です。この場合の受給資格期間とは、保険料を納付した期間と、納付を免除した期間を合算したものです。そのため、在学中や産前産後などの免除期間も含めることができます。60歳時点で期間が不足していても、任意加入期間を合わせて条件を満たすと受給資格を獲得することができます。
・受給できる年金の金額が増える
受給資格を満たしている場合は、受給金額を満額に近づけることができます。日本年金機構によると満額の場合、一人当たりの受給できる月額は2025年4月分から6万9308円です。老後は、収入も限られてくるため、受給金額が増えれば、安定した生活にもつながるでしょう。
60歳以降も「任意加入」で保険料を払い続けるデメリット
任意加入制度を利用するデメリットとして、以下の二つが挙げられます。
・家計への負担
月ごとに保険料の支払いが生じるため、家計への負担が生じる世帯もあるでしょう。日本年金機構によると、2025年時点での保険料は月額1万7510円です。
・長生きしないと収支が合わない
保険料を支払った分は、ひと月ごとに少しずつ還元される仕組みです。受給期間が短いと、払った分を取り戻せなくなることもあります。
5年間の任意加入を行ったと仮定しましょう。支払金額は以下の通りです。
1万7510円×12ヶ月×5年=105万600円
厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均受給金額は5万7700円です。この金額を毎月受け取る場合、追加分の105万600円を全て受け取るまでに約1年半がかかります。その前に死亡してしまうと、かえって損をしてしまう計算になります。
まとめ
年金を受給するためには、20〜60歳の間に最低でも10年、満額であれば40年の受給資格期間が必要です。しかし、任意加入制度を利用することで、60歳を超えても受給資格期間を延長することが可能です。これにより、満額での老齢年金受給も目指せるかもしれません。本記事を参考に、老後の資金繰りについても考えてみましょう。
出典
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について 2025年4月 令和7年4月分(6月13日(金曜)支払分)からの年金額 令和7年度の年金額の例(昭和31年4月2日以後生まれの方の場合)
老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額 2025年4月 老齢基礎年金の受給要件
あなたも国民年金を増やしませんか? (2ページ) 毎月の保険料はいくらになりますか?
任意加入制度 2025年5月 任意加入する条件
厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業の概況 2024年12月 (参考資料1)都道府県別老齢年金受給者数及び平均年金月額(26ページ)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー