【公的年金】65歳で受給し始めましたが、このたび「パート就労」が決まりました!一時的に「受給を停止」できますか?
配信日: 2025.06.10

65歳以上でも厚生年金に加入して働くと、「在職老齢年金」という制度が適用される場合があります。一定の収入を超えると、年金が減額されることもあるため、収入や働き方の調整が重要になります。
この記事では、「働くと本当に年金は止まるのか? 」「一時的に受給をストップする方法はあるのか? 」を中心に、わかりやすく解説します。

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目次
働くと年金は減らされる? 「在職老齢年金」の仕組みとは
厚生労働省の「在職老齢年金制度について」によると、2022年時点で、65歳以降で在職している年金受給権者は308万人います。65歳以上で厚生年金に加入して働くと、「在職老齢年金」が適用されます。
これは、働いて得る収入が多いと、老齢厚生年金の支給額が減らされる仕組みです。2025年現在、「基本月額(年金の月割り額)」と「総報酬月額相当額(給与+賞与)」の合計が51万円を超えると、超えた分2分の1が年金から減額されます。
たとえば、年金月額12万円、総報酬月額相当額が40万円の場合、合計52万円となり、51万円を超えた1万円の半分、5000円が年金から減額されます。月収が少ないパート勤務であれば、通常はこの基準を超えないケースが多いですが、賞与がある場合などは注意が必要です。
年金の一時停止はできる? 実際の手続き方法と注意点
「収入が多くなりそうなので、一時的に年金の受給をやめたい」と考える方もいます。その場合、自分の希望で年金受給を停止することが可能です。
【必要な手続きは?】
「老齢・障害・遺族給付 支給停止申出書」を日本年金機構に提出することで、申し出の翌月から受給が停止されます。再開したいときには「支給停止撤回申出書」を出せば、翌月から再受給が可能です。
ただし、過去にさかのぼっての撤回はできません。あくまで将来に向かっての停止・再開となるので、タイミングに注意しましょう。
【申請先と方法】
・年金事務所に郵送または窓口提出
・本人確認書類・年金手帳などが必要
・不安な方は事前に電話で相談も可能です
働きながら年金も無駄にしない! 賢い働き方の工夫とは
年金が減額されないようにしつつ、収入も得たい。そのためには以下のポイントをおさえ、働き方に少し工夫を入れるとよいでしょう。
・月収と賞与の調整
51万円ルールに注意し、収入を分散する働き方を意識する。
・週20時間未満の勤務も検討
週20時間未満の勤務であれば、原則として厚生年金に加入しない働き方も可能です。ただし、事業所の規模や賃金、契約期間など他の要件も関係します。
・「在職定時改定」で年金が増える可能性も
厚生年金に加入して働くことで、毎年年金が見直されて増える仕組みもあります。働く=損、とは限りません。
無理なく働き、年金も上手に生かすには?
パート就労を始めたからといって、すぐに年金が止まるわけではありません。多くのケースでは、収入が51万円を超えない限り、年金はそのまま受け取れます。
ただし、賞与などで収入が増える可能性がある方や、あえて一時的に年金を止めたい方には、「受給停止」の申請も一つの手段です。働き方の工夫次第で、
・年金を減らさずに働ける
・年金の額を増やせる(在職定時改定)
など、前向きな選択肢が見えてきます。不安なときは迷わず、年金事務所での相談を活用し、自分に合ったベストな働き方を見つけていきましょう。
出典
厚生労働省 在職老齢年金制度について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー