国民年金が未納状態になっている46歳です。今更払い出しても遅いですか?
配信日: 2025.06.07

仮に46歳で国民年金が未納となっている期間がある場合、国民年金の受給資格や将来の年金額に、どのような影響があるのでしょうか。国民年金が長期間未納状態となっている方に向けて、考えていきます。

行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
国民年金の未納がなぜ良くないのか
始めに、なぜ年金が未納状態にあることが良くないのか、考えていきます。
まず挙げられる理由は、「将来年金給付が受けられない可能性があること」です。国民年金(老齢基礎年金)は原則として、65歳時点で保険料を納付した・免除された期間などが10年以上ある場合に、受給資格を満たします。
また国民年金は、20歳から60歳までの40年間納付し続けると満額(令和7年度は83万1700円)受け取ることができ、未納となる期間が存在していると、その分だけ支給額が減額されます。仮に5年間未納の状態となったまま受給が開始されると、「35年間(420ヶ月)分」の納付として扱われ、支給額は約72万7738円と、年間で10万円以上減額されてしまいます。
加えて、一定の障害を負った場合に支給される障害基礎年金が支給されなくなる場合や、遺族に対して遺族基礎年金が支給されなくなる場合もあります。
今から国民年金の支払いを再開するメリット
たとえ46歳という年齢で国民年金が未納状態となっている場合でも、今から支払いを再開するメリットは十分あります。なぜなら、国民年金は今から支払いを再開しても、60歳まで支払いを続けることで受給資格期間を満たし、将来受け取る年金額を少しでも増やすことができるからです。
国民年金の保険料が未納となっている場合は、原則として2年以内であれば納付ができます。逆に納付期限から2年を過ぎると、過ぎた期間分は納めることができなくなりますので、速やかな納付をおすすめします。なお、督促状で指定した期限までに未納分の国民年金保険料が納付されない場合には延滞金が発生するため注意しましょう。
どうしても国民年金を支払うことが難しいときは?
国民年金保険料の支払いが経済的に困難である場合、保険料の「免除」・「納付猶予」という制度があります。
申請が認められると、保険料を満額納められずとも、その認められた期間は未納扱いとはならないため、国民年金の受給資格期間としてカウントされ、保険料を納付した期間と合わせて10年以上あれば、年金を受け取ることができます。ただし、その分支給額は減額されます。
表1
老齢基礎年金の 受給資格期間への算入 |
老齢基礎年金の 年金額への反映 |
|
---|---|---|
納付 | あり | あり |
全額免除 | あり | あり |
一部免除 | あり | あり |
納付猶予 | あり | なし |
未納 | なし | なし |
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」を基に筆者作成
免除・納付猶予の手続きは、最寄りの年金事務所や住所地の市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口の他、マイナポータルを利用して電子申請することも可能となります。
詳細については、最寄りの年金事務所や住所地の市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口へ相談してみてください。
まとめ
国民年金は未納となっていたとしても、速やかに支払いを再開することで、年金の受給資格を確保し、将来の年金額を増やすことが可能です。未納期間をそのまま放置すると、老後の収入が大幅に減少するリスクがあるため、早めに年金記録を確認し、必要な手続きを進めることが大切です。
日本年金機構や自治体の窓口に相談すれば、個々の状況に合ったアドバイスを受けることができます。年金制度を上手に活用して、将来の安心を確保するための一歩を今から始めましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
執筆者:柘植輝
行政書士