65歳で夫を亡くし、いまは「遺族年金」でなんとか生活しています。貯金は残り「500万円」程度なのですが、残り20年の「老後人生」はこれでまかなえるでしょうか?

配信日: 2025.06.06

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65歳で夫を亡くし、いまは「遺族年金」でなんとか生活しています。貯金は残り「500万円」程度なのですが、残り20年の「老後人生」はこれでまかなえるでしょうか?
遺族年金は残された家族が生活するうえで支えとなる制度です。しかし、年金と貯金だけでこれからの老後を安心して過ごせるのか不安に思う人もいるでしょう。例えば今回の事例のように、遺族年金と貯金「500万円」ほどで残り20年程度の老後人生は賄えるのでしょうか。
 
本記事では、20年の老後人生に必要な資金額や年金の平均受給額などを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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20年の老後人生に必要な資金はどれくらい?

総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯における1ヶ月の家計収支は、可処分所得が12万1469円なのに対し、消費支出は14万9286円でした。これは毎月2万7817円不足する計算で、仮に同じ収支が20年続く場合は667万6080円の赤字となります。
 
なお、消費支出の内訳は表1の通りです。生活費を節約した場合、実際の不足額は667万6080円より下回る可能性があります。
 
表1

項目 消費支出に占める割合 金額
食料 28.2% 4万2085円
住居 8.5% 1万2693円
光熱・水道 9.7% 1万4490円
家具・家事用品 4.4% 6596円
被服及び履物 2.3% 3385円
保健医療 5.8% 8640円
交通・通信 10.0% 1万4935円
教育 0.0% 15円
教養娯楽 10.4% 1万5492円
交際費 11.0% 1万6460円
その他の消費支出 9.7% 1万4496円

出典:総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」を基に筆者作成
 

遺族厚生年金の平均受給額は「8万2569円」

厚生労働省年金局の「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和5年度末時点における遺族厚生年金の平均年金月額は8万2569円です。また、国民年金の平均年金月額は女性の場合、5万5777円となっています。
 
仮に今回のケースにおいて、65歳で老齢基礎年金のみを受給していた方が夫を亡くし、遺族厚生年金を受け取っている場合、平均的な受給額であれば年金収入は月額13万8346円であると考えられます。
 
ただし、前述の家計調査報告によると高齢単身無職世帯の非消費支出は月1万2647円となっており、実際に自由に使えるお金は月額12万5699円程度であると予想されます。
 
なお、日本年金機構によると公的年金は1人1年金が原則となっているため、複数の年金の受給は基本的にできません。ただし、65歳以上の人は特例的に支給事由が異なる2つ以上の年金を受給でき、遺族厚生年金と自身の老齢基礎年金は併給されます。
 

「500万円」の貯金では不足する恐れがある

前章の計算より、1ヶ月の可処分所得が12万5699円と仮定すると、20年で3016万7760円の収入となる計算です。
 
一方、65歳以上の単身無職世帯の平均的な消費支出は月額14万9286円であるため、20年で3582万8640円となります。差額は566万880円の不足となり、この場合500万円の貯金では66万円ほど不足してしまう可能性があるようです。
 
また、病気・けがによる医療費の増加や高齢に伴う介護費用の発生など、出費が増えるケースも考えられます。インフレにより、生活費が高騰する恐れもあるでしょう。そのため、将来起こりうるリスクをあらかじめ想定しておくことが重要です。
 

まとめ

65歳以上の単身無職世帯における平均的な家計収支は可処分所得が12万1469円、消費支出は14万9286円で毎月2万7817円不足する計算です。一方、遺族厚生年金の平均年金月額は8万2569円、国民年金の平均年金月額は女性が5万5777円ですが、平均的な非消費支出を考慮すると1万2647円ほど差し引かれます。
 
この収支が20年続く場合、566万880円不足する計算となるため、500万円の貯金では足りなくなる可能性があるでしょう。医療費・介護費用の発生やインフレによる生活費高騰の恐れもあるため、貯金だけを過信せず将来のリスクに備えることが必要です。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2024年-(19ページ)
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 II. 厚生年金保険 (2)給付状況 表6 厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移(8ページ)、(参考資料4)国民年金 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数(27ページ)
日本年金機構 年金の併給または選択
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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