定年後も子どもに頼らず、自分で働いて稼いでいく予定です。友人から「年金が減らない程度にしないと損だよ」と言われたのですが、そんなに減りやすいのでしょうか?

配信日: 2025.06.03

この記事は約 4 分で読めます。
定年後も子どもに頼らず、自分で働いて稼いでいく予定です。友人から「年金が減らない程度にしないと損だよ」と言われたのですが、そんなに減りやすいのでしょうか?
定年後も子どもに頼らず、働いて収入を得たいと考える方も少なくないでしょう。しかし、友人にそのような話をして、「年金が減らない程度にしないと損だよ」などと言われたら、誰だって不安になるものです。
 
せっかく働いても損をしたと感じないようにするためには、「在職老齢年金制度」を正しく理解した上で、働き方を工夫することが大切です。
 
そこで今回は在職老齢年金制度の概要や、支給額調整ルールなどについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

「在職老齢年金制度」とは? 収入の上限

60代以降も働く方が増えている今、年金と収入のバランスを考える上で重要になるのが、「在職老齢年金」という制度です。
 
在職老齢年金制度では、一定以上の収入があると年金の一部を減額、またはすべてを停止するといった調整を行います。具体的には、給与や賞与の額と年金の金額を合算した合計が51万円を超えると、超過分の半額が年金から差し引かれる仕組みです。
 

「在職老齢年金制度」の支給額調整ルール

在職老齢年金は、「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計によって支給額が調整されます。実際の計算式を踏まえて見ていきましょう。
 

年金が満額もらえるのは「51万円」まで

在職中であっても、基本月額と総報酬月額相当額の合計が51万円以内であれば、老齢厚生年金は減額されることなく満額支給が可能です。つまり、収入がこのラインを超えなければ、働きながらでも年金をそのまま受け取れるため、安心して仕事を続けられます。
 

【51万円を超えた場合】支給停止額の計算式

基本月額と総報酬月額相当額の合計が51万円を超えると、超えた分の半額が年金から差し引かれます。公益社団法人生命保険文化センターによると、実際の支給停止額は「支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-51万円)÷2」という式で計算され、この金額分が老齢厚生年金から減額されます。
 

パターン別・支給停止額の計算例

在職老齢年金の仕組みをより深く理解するために、年金を全額受け取れる場合と、一部が支給停止となる場合に分けて、具体的な例を用いて解説します。
 

年金が全額受け取れる場合

月収が25万円、年間賞与が24万円(=月換算で2万円)、老齢厚生年金が月18万円、老齢基礎年金が月6万5000円という場合、給与と賞与(月額分)の合計額は27万円(25万円+2万円)です。
 
この27万円に老齢厚生年金である18万円を加えると、合計は45万円となり、51万円を下回ります。そのため支給停止額は発生せず、老齢厚生年金も老齢基礎年金も満額で受け取れます。
 

一部が支給停止される場合

月収が36万円、年間賞与が60万円(=月換算で5万円)、老齢厚生年金が月20万円、老齢基礎年金が月7万円という場合、給与と賞与(月額分)の合計額は41万円(36万円+5万円)です。
 
この41万円に老齢厚生年金20万円と合わせた額は61万円となり、51万円を10万円オーバーします。「支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-51万円)÷2」の計算式に当てはめると、(61万円-51万円)÷2=5万円が支給停止され、老齢厚生年金の受取額は月15万円です。なお、老齢基礎年金7万円は減額の対象外で、満額支給されます。
 

年金をできるだけ減らさずに働く工夫

ここからは、年金をできるだけ減らさずに働くための、具体的な工夫を紹介します。
 

毎月の収入が51万円を超えないように抑える

年金の減額目安となるのが、基本月額と総報酬月額相当額の合計が「51万円」を超えるかどうかです。毎月の収入を51万円以内に抑えることで、老齢厚生年金を満額受け取ることが可能になります。
 

会社員ではなく自営やアルバイトで働く

厚生年金に加入せずに働けば、在職老齢年金の対象外となるため、年金の減額を心配せずに収入を得られます。例えば、自営業やフリーランスとして働いたり、厚生年金の適用がないアルバイトとして働いたりするなどの方法があります。
 

在職老齢年金制度を理解して賢く働こう

在職老齢年金制度は少し難しく感じるかもしれませんが、制度の内容を把握し、収入と年金のバランスを取りながらうまく活用すれば、仕事を続けながら年金を受け取ることが可能です。年金が減る仕組みやその条件を理解して、自分にとって不利にならない働き方を選びましょう。
 

出典

公益社団法人生命保険文化センター 在職老齢年金について知りたい
日本年金機構 60歳以降も引き続き勤めます。勤めていても年金は受けられますか。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集