

執筆者:和田隆(わだ たかし)
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士
新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。
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請求の準備作業が大変だった人とそれほどでもなかった人がいる。なぜ…?
具体例で説明します。
Aさんは統合失調症で障害年金を受給しています。障害年金の請求の際には、日常生活で困っていることを細かく書いたメモを主治医に渡し、診断書を書いてもらいました。
自分で作る「病歴・就労状況等申立書」にも、日常生活で困っていることを詳しく書き込みました。「そうしたほうがいいよ」と、すでに障害年金を受給していた友人にアドバイスされたためです。準備作業は大変でしたが、がんばってやり遂げました。
一方、難聴で障害年金を受給しているBさんは、日常生活で困っていることについて主治医に特に言わないまま、診断書を書いてもらいました。
「病歴・就労状況等申立書」には、「会話が聞き取りにくい。」と一言書いただけです。もちろん、難聴ならではの不便さはあるのですが、日常生活で困っていることをあまりアピールした記憶はありません。それでも、受給できました。
障害の種類によって、重視されるところが異なる
どういうことでしょうか。
実は、病気や障害の種類によって、日常生活の不便さが決め手になるものとそうとも言えないものがあるのです。
障害年金は、さまざまな病気や障害で受給することができます。厚生労働省が作った「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」(以下、「認定基準」と書きます。)には、病気や障害を19の種類に分けて、認定基準が書かれています。
これらのうち、精神の障害、神経系統の障害、悪性新生物(がん)による障害などは、日常生活の不便さがどれほど大きいかが障害等級を決めるうえで重視されます。
一方、眼の障害、聴覚の障害、肢体の障害など測定値で表しやすいものや、機能障害の程度を判別しやすいものは、測定値や可動域などが重視されます。
厚生労働省が2014年に実施した「障害年金受給者実態調査」の調査結果によると、受給者の「傷病名別割合」は、精神障害と知的障害だけで54%を占めています。多数派なのです。
こうした理由もあって、「日常生活の不便さが決め手になる」という見方が、病気や障害の種類を考慮せずに広まったものとみられます。
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請求を考えている人は、まず、「認定基準」を確認しよう
「障害年金をもらえないかな」と思っておられる方は、ぜひ「認定基準」をご覧になることをお勧めします。最新版の「認定基準」は、日本年金機構のホームぺージより確認できます。
例えば、眼の障害だと、「両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの」は2級、「両眼の視力が0.1以下に減じたもの」は3級、とはっきりと書かれています。
ここでいう「視力」は、眼鏡やコンタクトレンズを用いた矯正視力のことです。2級の「両眼の視力の和」とは、左眼と右眼のそれぞれの測定値を合算したものになります。また、3級の「両眼の視力」については、左眼と右眼がともに0.1以下になった場合のことです。
腎疾患による障害では、「人工透析療法施行中のものは2級と認定する。」と断言されていますし、心疾患による障害では、難治性不整脈でペースメーカーやICDを装着したものは3級、と明言されています。
これらの場合も、加入要件や納付要件が満たされている場合は、どんな療法が用いられているかということで障害年金の等級と受給が決まるわけです。もちろん、この等級は原則であって、症状によっては、より上位の等級に認定される可能性もあります。
出典 日本年金機構 「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
執筆者:和田隆(わだ たかし)
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士